研究課題
太陽系内の小天体は太陽からの距離や軌道の形にしたがって、また地球から見る方向によって、様々な速度で天球上を運動している。一般に地球に近いものは速く動き、地球から遠い天体の動きは遅い。天文データアーカイブに数分角以上の領域を撮像した画像データを探すと、太陽系の小天体は恒星よりずっと手前にあるため、観測でその画像を取得した研究者が意図してなくても太陽系小天体が紛れ込んでいることは多々ある。研究代表者はこのような天文データアーカイブ画像に眠っている太陽系小天体を探し出して、研究に使えないかという試みをこの研究課題を通して行った。天文データアーカイブには様々な露出時間・時間間隔で取得された画像データが保存されており、そのようなデータの中から、偶然映り込んでいる様々な速度で天球上を運動している太陽系小天体を見つけて、同定していくのは容易なことではなかった。しかも年ごとにアーカイブのデータ量は増し、新しい観測装置によって撮られたデータが追加されていく。最終年度は最新かつ最大の視野をもつHyper Suprime-Camで取得されたデータを使って、どのように太陽系小天体を検出できるかを検討した。2枚の画像を比較して検出できた移動天体から移動速度を算出して、その天体の仮軌道を決め、その軌道に沿って天体の位置を予測するように天体を追跡しながら移動天体を検出していくソフトや、バラバラに検出された移動天体群からもっともらしい軌道が成り立つかどうかを判断して、移動天体を同定するソフトの原型を作った。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件) 学会発表 (1件)
Icarus
巻: 269 ページ: 15-22
10.1016/j.icarus.2016.01.004
巻: 254 ページ: 202-212
10.1016/j.icarus.2015.04.007
Research in Astronomy and Astrophysics
巻: 15 ページ: 407-434
10.1088/1674-4527/15/3/009