研究課題/領域番号 |
25400244
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
石井 理修 大阪大学, 核物理研究センター, 准教授 (40360490)
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研究分担者 |
村野 啓子 大阪大学, 核物理研究センター, 協同研究員 (10610412)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 格子QCD / ハイペロン相互作用 / 散乱問題 / ハイパー核 / スピン・軌道相互作用 |
研究実績の概要 |
格子QCDモンテカルロ第一原理計算を使用した核力・ハイペロン力の研究を進めている。HPCI戦略分野5課題1では、計算資源の制限から物理点ゲージ配位を用いた負パリティ核力・ハイペロン力と対称・反対称LS力の生成は次期のポスト京へ延期された。ポスト京の仕様が次第に明らかになってきていて、これに向けたアルゴリズムやコード開発を進めている。平成27年度は、HPCIの最終年度であり、物理点における核力・ハイペロン力生成(正パリティの中心力・テンソル力)に重点が置かれたため、負パリティセクタの計算が遅れてしまっている。来年度はこの状況を打開する。一方で、ほぼ解析的に扱える模型を用いて学生とやっている微分展開を高次まで足し上げた際のHAL QCD ポテンシャルの収束性の研究において、位相差の収束性は非常に速くなり得る事が明らかになった。ここで導入した一般化微分展開は、将来実際の格子QCDモンテカルロ計算によって高次の核力・ハイペロン力を決定する際にも有効である。HAL QCDの方法において、current matrix elementを計算するアルゴリズムを別の学生と開発中である。HAL QCD法では、interpolating fieldが違えば、Nambu-Bethe-Salpeter(NBS)波動関数の形や、ポテンシャルの形が変化するが、それでも位相差は元のQCDの物が得られる事が保証されている。しかしながら、NBS波動関数の形が変化してしまう場合、素朴な方法で確率密度や重陽子の形状因子等を計算すると、結果はintepolating fieldの選び方に依存してしまって、QCDが予言する正しい値を与えない。これを、昔、Bethe-Salpeter方程式で使った外場の方法を用いて打開する。一度にQCDで定式化するのは難しいため、非相対論的な模型で進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
HPCI戦略分野5課題1で生成された巨大空間体積上で物理的クォーク質量を採用したゲージ配位を用いた現実的核力・ハイペロン力の計算に多くの労力が費やされた。そのため、正パリティの核力・ハイペロン力(中心力とテンソル力)は次第に結果が出始めているが、負パリティセクタの核力・ハイペロン力及びLS力に特化した研究が遅れてしまっている。
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今後の研究の推進方策 |
まず、遅れている flavor SU(3)極限の負パリティセクタの核力・ハイペロン力・LS力の論文を完成させ出版する。collaboration内の計算資源配分の都合によって、flavor SU(3)を破った結合チャンネルハイペロン力(負パリティ・LS力)の計算を筑波大のGPUスパコン HA-PACSを用いて進める事にした。HPCI分野5課題1でHA-PACS用に高度にチューンされたquark propagator solver(通称石川コード)と合体させて使用する。このため、GPU用のチューンを行う。HA-PACSは1ノードあたりのメモリと性能が大きいため、チューニングは楽である事を期待している。このコードにより、まず、L=1.9fmのCP-PACS/JLQCD生成の2+1 flavorゲージ配位を用いて結合チャンネルで核力・ハイペロン力(負パリティ・LS力)を生成し、次に(L=2.9fmのPACS-CS生成のゲージ配位を変更して)山崎・蔵増・宇川生成の2+1 flavorゲージ配位を用いて結合チャンネルで核力・ハイペロン力(負パリティ・LS力)生成を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
collaboration meetingが、関西(京都大学)で行われて、東京往復する回数が減った。また、主要な国際会議(Lattice2015, HYP2015)が、国内で行われて、旅費を節約できた。
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次年度使用額の使用計画 |
collaboration meeting等の国内旅費、国際研究会に参加する際の旅費、スパコンで生成したデータを手元にダウンロードして様々に解析するための外付けハードディスクの費用、論文投稿料の使用して行く
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