格子QCDの第一原理モンテカルロ計算を用いた核力・ハイペロン力の研究を進めている。HPCI戦略分野5課題1の課題であった物理点ゲージ配位を使用した核力・ハイペロン力(正パリティセクタの中心力とテンソル力)の生成はようやく最終段階に至った。しかしながら、これが長引いたため、負パリティセクタの核力・ハイペロン力(スピン・軌道力含む)の計算を進める事が出来なかった。一方で学生と進めている研究に進展があった。Manchester大教授のM.Birse氏の疑問に答えるため、時間依存型HAL QCD法とオリジナルのHAL QCD法で作った2つのポテンシャルの等価性について解析的な考察を行い、ほぼ解析的に取り扱える模型による高精度数値計算によって、時間依存型HAL QCD法でポテンシャルの時間依存性が消える領域において2つが実際に等価になる事を確認した。また、別の学生と、HAL QCDポテンシャルで定義される有効量子力学において保存カレントの行列要素を計算する方法を開発している。第一段階の結果である、ほとんど解析的に非相対論的結合チャンネル模型において定式化した結果(1体のquarkカレントと2体の"exchangeカレント"の和になる)をPTEPから出版した。これは今後格子QCDでの使用に向けて拡張を重ねる必要がある。さらに別の学生と、新エキゾチックバリオンのPc(4450)の理解を目指して、チャーモニウムー核子間ポテンシャルを計算している。先行研究として、Kawanai-Sasakiの研究があったが、これは時間依存型HAL QCDを用いた物ではなく定量性に不満が残るため、時間依存型HAL QCD法を用いて再計算を行っている。
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