研究課題/領域番号 |
25400255
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
緒方 一介 大阪大学, 核物理研究センター, 准教授 (50346764)
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研究分担者 |
明 孝之 大阪工業大学, 工学部, 准教授 (20423212)
松本 琢磨 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (60415304)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 非束縛状態 / 不安定核 / 共鳴状態 / 粒子崩壊 / 崩壊モード |
研究概要 |
炭素22の第2励起状態(0+状態)が、炭素22の分解断面積の中で、極めて特異なエネルギースペクトルとして観測されるという結果を確定し、これを共鳴・非共鳴状態の干渉(Fano効果)と関連付けて分析した。特に、複素スケーリング法を用いて断面積の共鳴成分(理論上の計算量)を引き出すと、Fano効果の典型的な形状が、炭素22の散乱角度に応じてバラエティ豊かに現れることを明らかにした。さらに、このFano効果が実際の観測量においてどのように現れるかを実験に先駆けて予言した。これらの成果を、学術誌Physical Review Cで発表した。 次に、α粒子と2つの中性子からなるヘリウム6原子核の第1励起状態(2+)が崩壊する断面積を最新の反応計算によって算出し、分解断面積の分析より、ヘリウム6の2+状態の崩壊モードは、1) 2つの中性子が相関を持ちながら放出されるダイニュートロン崩壊, 2) 2つの中性子が相関を持たず逆方向に放出されるデモクラティック崩壊の重ね合わせである事を示した。特に 2) の崩壊モードは今回新たに発見されたものであり、2+状態の中にある2中性子の構造に対する新しい知見を与えるものと考えられる。この成果を、学術誌Physical Review Cで発表した。 さらに、酸素24の低エネルギー励起状態に対する分析を、連続状態粒子振動結合法によって行い、スピン-パリティの構造に対する予想を示した。この成果は、学術誌Physical Review Cで出版されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究計画に掲げた、炭素22の非束縛励起状態の形状およびヘリウム6の3体崩壊モードの特定に関し、それぞれ十分な知見が得られ、学術誌上の論文として発表された。さらに、酸素24の励起エネルギースペクトル(非束縛状態)についても研究が進展し、論文として発表されるに至った。これらは当初の研究計画を大きく上回る成果であると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度に得られた知見を他の系に適用すると共に、非束縛原子核(束縛状態を持たない原子核)の記述に着手する。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初、研究分担者の松本氏が大阪に数回出張する計画であったが、研究代表者の所属する大阪大学核物理研究センターで耐震改修工事があり、工事期間中、議論に十分なスペースを確保することができなかったため。 基本的には当初の研究計画通り使用するが、松本氏には積極的に大阪に来てもらい、議論の補強を行う。
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