研究課題/領域番号 |
25400258
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
園田 英徳 神戸大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (20291966)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | Wilson作用 / 繰り込み群 / 厳密繰り込み群 / 普遍性 / 臨界指数 / 不動点 |
研究実績の概要 |
厳密繰り込み群の定式化を使って,YM理論におけるゲージ不変な複合オペレータについて考えていくうちに,複合オペレータの概念そのものをいままでよりも明確にすることがまず必要だと結論した.そこで厳密繰り込み群の基礎に戻って,Wilson作用の概念を整理することにした.特に同じ物理を記述するふたつのWilson作用が満たさねばならない関係を吟味した.最終的に到達したのが,「同等なWilson作用」の概念である.この概念の特別な応用として,厳密繰り込み群を導き,さらに繰り込み群の不動点を特徴づける臨界指数が普遍的であることの証明を与えた.この普遍性の証明はいままでにも別な形で得られていたが,本研究で得られた証明は,簡潔さ,明解さにおいて既存の証明より優れていると思う.この研究成果は"Equivalence for Wilson Actions"として論文(arXiv 1503.08578)にまとめた.この研究の応用として,一般のスカラー場の理論のエネルギー・運動量テンソルの構築も考察したが,今年度内に成果をまとめることはできなかった.9月に国際学会ERG2014に参加して,研究成果の中間報告をした. また,11月にInstitute of Mathematical Sciences (Chennnai, India)にB. Sathiapalan教授を訪れ,厳密繰り込み群を弦理論の定式化に応用することについて議論した.2次元の一般的な非線形シグマ模型がスケール不変になるための条件を,厳密繰り込み群を使って表現することが課題である.Sathiapalan教授には先行研究があるが,いまだ未完成である.弦の振動モードを与える複合オペレータ(vertex operators)の性質を調べることが重要になる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
YM理論について考察するよりも場の理論を一般的に考察する方に努力が向けられ,YM理論自信を対象とする考察はやや遅れている.
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今後の研究の推進方策 |
今年度達成した研究によって,厳密くりこみ群の理解は格段に向上した.YM理論の複合オペレーターの中でも特に物理的に重要なエネルギー・運動量テンソルについて今年度の研究成果を応用したいと考える.さらにB. Sathiapalan教授(Institute of Mathematical Sciences)と共同で,弦理論の定式化に必要な複合オペレータの構成について研究したい.
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次年度使用額が生じた理由 |
2014年11月に3週間Institute of Mathematical Sciences(Chennai, India)に滞在し,B. Sathiapalan教授と議論を重ね,厳密繰り込み群を使って,弦理論の定式化を共同で進めていく準備を進めた.Sathiaplan教授を神戸大学に短期間招くか,本研究者が再び彼を訪れるかするための費用を補うため,物品購入を控えることで本年度の支出を節約した.
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次年度使用額の使用計画 |
B. Sathiapalan教授の神戸大学滞在または本研究者のInstitute of Math Sciences, Chennai, India訪問の費用として使いたい.
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