研究課題/領域番号 |
25400262
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
小田 一郎 琉球大学, 理学部, 教授 (40265517)
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研究分担者 |
瓜生 康史 琉球大学, 理学部, 教授 (40457693)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 暗黒物質 / 標準模型 / ヒッグス粒子 / Bモード |
研究概要 |
我々の宇宙に存在する全エネルギーのうちの約20%は、暗黒物質が担っていることが実験的に分かっている。しかし、暗黒物質を構成する素粒子については、現在までに発見されていない素粒子であることが分かっているだけで、それ以外の物理的な性質については全く分かっていないと言っても過言ではない。 数年前に、フェルミ望遠鏡によって得られたデータを解析することによって、我々の銀河中心で起こった暗黒物質の対消滅の結果発生したと思われる130GeVのガンマ線のピークが発見された。この発見に基づいて、暗黒物質の新しい理論を構成することが本研究の目的である。また、新しい理論では暗黒物質の候補として、右巻きの重いニュートリノを考えることも可能である。その際、電荷を持った新しい素粒子も導入する必要があるが、これらの新粒子を用いると、シーソー機構を用いないで量子効果によって左巻きのニュートリノに小さな質量を持たせることも可能になる。このニュートリノの質量生成機構についても研究を行いたい。最後に、満足すべき理論が得られたあとで、この理論から得られる知見を基にして、「加速器実験」や「直接実験」について考察し、さらに宇宙論にも応用したいと思っている。研究代表者の小田は理論の構築をしながら全体の研究をリードし、研究分担者の瓜生は断面積の計算やボルツマン方程式を解くときに必要となる数値計算を担当し、また宇宙論の応用を考える場合は、主導的な役割を担うことになる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度の研究の第一目標は、暗黒物質の新しい理論を構成することであった。ただ、フェルミ望遠鏡によって得られたデータを解析することによって発見された130GeVのガンマ線のピークについての研究の追試が行われていない。また、フェルミ望遠鏡の実験グループの論文には、この現象のコメントすら書いていない状況であり、データの解析に間違いがあった可能性も否定できない。 さらに、LHCでのヒッグス粒子の発見とその質量(126GeV)の値から、標準模型がプランクスケール(10の18乗GeV)の近くまで成立している可能性が高く、当初予想していた1TeV近辺に未知の素粒子があって、それが暗黒物質を構成している素粒子であるという我々のアイディア自体が危うくなってきている。 現在は、LHCやBICEP2の実験結果を土台にして、標準模型を超える理論について、主に研究している。標準模型を超える理論は必ず暗黒物質を構成する素粒子が含まれていなければならない。従って、標準模型を超える理論を研究することによって、暗黒物質を説明する新しい理論に到達できるのではないかと期待している。
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今後の研究の推進方策 |
フェルミ望遠鏡のデータの解析結果から得られた130GeVのガンマ線のピークについては、フェルミ実験グループからの確証がまだ得られていない。また、LHCでのヒッグス粒子の発見とその質量(126GeV)の値から、標準模型がプランクスケール(10の18乗GeV)の近くまで成立している可能性が高い。つまり、我々が以前考えていたTeVスケールに存在する新しい素粒子によって、暗黒物質を説明する理論を作るというアイディアが厳しい状況になってきている。 こういう状況において、今後の研究を推進するために、LHCで発見されたヒッグス粒子やBICEP2で最近見つかった重力波のB-modeを土台にして、標準理論を超える物理を作ろうとしている。実際、最近、拡張されたヒッグス・インフレーション模型から2次関数的なポテンシャル項を持つカオス的なインフレーション模型を導くという論文を完成させた。今後はこの一般化されたヒッグス・インフレーション模型に暗黒物質を含めることによって、どういう現象が説明できるかを解明したいと思っている。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究分担者は配分された予算を用いて、本研究で得られた成果を国内の研究会で発表する予定でした。しかし、まだしっかりした研究成果を出せていませんので、予算を消費しませんでした。この予算は次年度の予算と合わせて、研究成果を国際学会で発表するための旅費として利用する予定でいます。 次年度に旅費として利用する予定です。
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