現代の素粒子物理学と宇宙物理学における大きな謎の一つに、暗黒物質に関するものがある。最近の観測技術の進歩によって、宇宙の全エネルギーの構成比が分かってきた。つまり、暗黒エネルギーが約75%を、暗黒物質が約25%を、そして既知の素粒子が残りの約5%を占めることが分かってきたのである。本研究の目的は、暗黒物質の物理的な意味を理解することであった。特に、フェルミ観測衛星のデータから130GeVという高エネルギーのガンマ線が観測されたために、このガンマ線の起源は、暗黒物質の対消滅から生まれたものではないかという考えに立って、暗黒物質の理論の構築を目指した。
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