本研究の目的は,進行中または将来の宇宙論的観測によりニュートリノの総質量がどの程度制限されるかを見積もることにより,ニュートリノの質量の決定に寄与することである. 素粒子標準模型ではニュートリノの質量は0とされているが,ニュートリノ振動実験等によりニュートリノは有限の質量を持つことが報告されている.ニュートリノの質量の決定は,素粒子標準模型を超える物理への手がかりとなるため,極めて重要である. 本研究では,Planck衛星による宇宙背景放射のBモードと,将来の広視野銀河サーベイであるEuclidの物質密度揺らぎの成長率の模擬データの組み合わせから得られる,ニュートリノの総質量の制限の精度を求めた.
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