私達の世界の物質の核心を担う原子核を、核子(陽子と中性子)間の核力により形成される量子多体系として理解することを目指す半世紀以上の研究において、基本的性質である飽和性の定量的説明は未解決である。3体核力の必要性が認識されているが、3体核力が系統的に導入されるカイラル有効場理論による核力記述が近年進展し、現象論を極力排した研究が可能になった。 本研究では、3体核力の一つの核子の自由度を積分して2体化する処方を用い、無限に広がる仮相的な系で2核子相関を解くG行列計算を行った結果、飽和性の記述が改善され、同時に原子核の殻構造の発現に基本的なスピン軌道力の強さが不足である問題も解消することを示した。
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