研究課題
2017年度(H29年度)は,研究計画で申請していた「Gauss-Bonnet重力理論での特異点形成」についての論文をまとめ,投稿し,掲載された.ワームホールのダイナミクスおよびスカラー波の衝突現象において,高次の曲率項は特異点形成を避ける方向にはたらくことを結論づけた.また,光的補足面の存在は必ずしも最終的なブラックホール形成を意味しないこともあり得ることを結論した.ブラックホール合体と重力波イベントの関連については,中間質量・超巨大質量ブラックホールの合体現象によって発生する重力波が,地球上では検出できない低周波数領域に相当することから,宇宙空間での重力波検出計画(LISA, DECIGO)でのイベントレートの見積もりや,より技術的に実現性の高い光格子時計を用いた宇宙空間での重力波検出の新たな方法を提案した.どちらも論文執筆中である.重力理論を重力波のデータ解析から明らかにするための手法として,ブラックホール合体の最終段階で発生するリングダウン重力波の解析が有力視されている.しかし短時間で消失するこのリングダウン部分をノイズに埋もれたデータから抽出する手法はまだ確立していない.そこで,自己回帰モデル(auto-regressive 法)を用いて,短時間のデータから波形を再構築する方法を重力波のデータ解析に応用し,リングダウン部分を捉えられることを示した.実際にLIGOの報告した最終ブラックホール質量予想値に近い値を示すリングダウン重力波を抽出することができた.
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 6件) 備考 (1件)
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