研究課題
本研究は主として輻射流体シミュレーションを用いて初代星の質量に迫ることを主眼とする。昨年度はある典型的な初期条件から初代星形成のシミュレーションを行い、その結果を論文として発表し、アメリカ天文学会誌に掲載された(Susa 2013)。この研究は国際的にも高く評価され、これまで33件引用されている(NASA ADS調べ)。これに続いて宇宙論的な初期条件から現実的な初代星形成の輻射流体シミュレーションを行った。その結果、初期質量関数のピークが数十太陽質量の付近にあること、しかし最も大質量のものは300太陽質量になることがわかった。我々は更に、この初期質量関数にしたがって星が生まれその中で元素が合成されたとした時のアバンダンスのパターンを計算した。その結果、Pair Instability Supernovaの痕跡が強く残ることがわかった。この結果はすでに論文としてアメリカ天文学会誌に掲載された(Susa et al. 2014)。この研究も高く評価され、これまで既に25件引用されている(NASA ADS調べ)。また化石初代星の数を見積もる研究を行っている。修士学生が矮小銀河中に存在する初代星の分布および数を見積もったが、これを天の川銀河に拡張する為の計算が終了し、現在その解析を行っている最中である。もう一つ、初代星形成の環境や低金属量の環境での磁場とガスの結合の様子を調べた。その結果、1)金属量が太陽組成の100分の1以下程度になると星形成時にジェットが出にくい傾向にあること、2)完全に原始組成のガスでは磁場がViscus Scaleでも低密度で結合しており、所謂乱流ダイナモのメカニズムが働く要件が満たされていることがわかった。
3: やや遅れている
次のステップは高解像度の計算であるが、これはできれば四月にはプロダクトランを始めたかった。今その前のコードチェックの段階である。また化石初代星の論文投稿が遅れている。
粒子分割法を用いて初代星近傍の電離構造を分解しようとしている。おおむね方法論は有効であるがまだプロダクトランを行うほど確かではない。できる限り科学的な計算に進めるように努力する。化石初代星の論文に関しては計算自体は終わっており、まとめの段階であるので、年度内の投稿は可能であると思われる。
化石初代星関連の論文投稿が遅れている。
化石初代星の論文投稿が今年度となると思われるのでそちらで使用する予定である。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)
The Astrophysical Journal
巻: 801 ページ: article id. 13
10.1088/0004-637X/801/1/13
巻: 792 ページ: article id. 32
10.1088/0004-637X/792/1/32
AIP Conf. Proc.
巻: 1594 ページ: 105-108
10.1063/1.4874053