研究課題/領域番号 |
25400280
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 福島工業高等専門学校 |
研究代表者 |
新井 真人 福島工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (60633625)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ソリトン / モノポール / 超対称性 / 非線形シグマ模型 / エルミート多様体 / 射影超空間 |
研究概要 |
当研究は2つの目的がある。一つ目は「ソリトンを用いた現実的なブレーンワールド模型の構築」、もう一つは「新しいブレーン構造を含む超対称非線形シグマ模型の構築」である。 一つ目については、25年度はブレーンのダイナミクスについて進展があった。ブレーンワールド模型の構築においては、ブレーンに局在するmassless場の有効理論を考えるだけでなく、ブレーンの安定性も議論をする必要がある。25年度は、ブレーンが2つある場合を考えて、それらが安定するかどうかを詳細に調べた。具体的には、4次元Yang-Mill-Higgs模型における渦糸解の有効理論を考えた。有効理論上ではキンク解が存在するがそれは4次元理論からみればモノポールとみなせる。有効理論上でキンクと反キンクを考えると、それらは4次元理論上ではモノポールと反モノポールとみなせる。我々はそれらのダイナミクスを渦糸解上の有効理論を用いて解析し、それらが消滅することなく安定に存在することを示した。モノポールは我々の世界を表すブレーンとはなり得ない。しかし、トイ模型としてブレーンの安定性を示すものであり、現実的なブレーンへの拡張が可能な者を考えている。 もう一つの研究テーマでは、非コンパクトなエルミート多様体E_6(-14)/SO(10)xU(1)の余弦束を標的空間に持つような非線形シグマ模型の構築を行っている。そのためには、まず基多様体であるE_6(-14)/SO(10)xU(1)の構築が必要であるが、25年度はその構築に成功した。今後は、それらをN=2超対称性が明白になる射影超空間を用いて余弦束まで拡張する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ソリトンを用いた現実的なブレーンワールド模型の構築のためには、複数のゲージ場を導入し、それらをブレーン周りに局在させる必要がある。さらには、カイラルフェルミオン場も局在させる必要がある。しかし、それらが局在するブレーンが安定でないことには、模型の構築ができないということから、まずは安定性やダイナミクスを詳細に調べる必要があった。そのために、1つ目の研究テーマは遅れが生じたが、安定性が確かめられたので今年度は上記に述べた内容を調べていく予定である。 2つ目の研究テーマである超対称非線形シグマ模型の構築については現在のところ順調に進んでいる。非コンパクトなE_6(-14)/SO(10)xU(1)のケーラーポテンシャルを構築することができたので、今年度は余弦束を含む超対称非線形シグマ模型の構築を完遂予定である。その後、その模型に含まれるソリトン解の導出を行っていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
ブレーンワールド模型の構築については、ブレーンの安定性についての議論が完了したので、複数のゲージ場の導入とそれらのブレーンへの局在について議論を進めていく。更に、カイラルフェルミオンを導入し、ブレーン上に標準模型の構築を行っていく。 超対称非線形シグマ模型の構築については、E_6(-14)/SO(10)xU(1)の余弦束を標的空間に持つ模型の構築を射影超空間形式を用いて構築する。続けて、非コンパクトなE_7/E_6xU(1)の余弦束を含む模型の構築を行う。後者については、基多様体であるE_7/E_6xU(1)のケーラーポテンシャルをまず構築する必要がある。それはE_6(-14)/SO(10)xU(1)のケーラーポテンシャルの構築で我々が発展させた手法を用いて構築を行っていく予定である。具体的には、E_7/E_6xU(1)を記述する座標の変換性を求め、その変換性のもとで不変になるようなケーラーポテンシャルを構築する。最終的に、そのケーラーポテンシャルを射影超空間形式を用いてN=2超対称性理論に格上げをし、E_7/E_6xU(1)の余弦束を含むN=2超対称非線形シグマ模型の構築を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
25年度は打ち合せのために共同研究者を数回招聘し、さらにこちらから訪問する予定であったが、お互いの都合がなかなかつかず予定していた回数よりも少なくなり、スカイプによる打ち合わせが多くなってしまったために次年度使用額が生じた。また、mathematicaなどの数式処理ソフトが予定していた金額よりかなり安価な値段で購入できたことも次年度使用額が生じた原因の一つである。 本年度は、共同研究者の招聘や訪問について綿密な計画を立てて、迅速な共同研究を促進するべく、回数を増やしていく予定である。そのために、次年度使用額で生じた予算を使用する予定である。
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