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2014 年度 実施状況報告書

偏極HD標的を用いた光生成反応によるバリオン分光

研究課題

研究課題/領域番号 25400300
研究機関大阪大学

研究代表者

與曽井 優  大阪大学, 核物理研究センター, 教授 (80183995)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード偏極HD標的 / レーザー電子光ビーム / LEPS / SPring-8 / 二重偏極観測量 / バリオン分光
研究実績の概要

本研究は、SPring-8における15億電子ボルトから30億電子ボルトの偏極光子ビームと偏極水素・重水素(HD)標的を用いてK中間子光生成反応の二重偏極観測量(ビームと標的を共に偏極させ、偏極の向きが平行な場合と反平行な場合の断面積の非対称度)を測定し、ストレンジネスが±1のバリオン共鳴状態のスペクトロスコピーを行うことを目的としている。本年度は以下の項目について研究を行った。
1. 先ず、HD標的セルを装着せずに希釈冷凍機の単体試験を行い、前年度の運転において到達温度が高かった(25 mK)原因が、希釈冷凍機の性能劣化によるものかどうかを確かめた。その結果、到達温度は約12 mK であり、希釈冷凍機本体には問題が無いことが確認された。
2. 次に、高純度HDガス約 1 mol を標的セル内に入れ、偏極生成の触媒となるオルソ水素を僅かに(10分の数%)混入させた後、希釈冷凍機において冷却し、17 T 磁場のもとで3ヶ月間のエージングを行い偏極を凍結した。標的セルを装着した状態ではやはり到達温度は 26 mK であった。エージングの後、磁場 1 T において偏極度測定を行い、44±1 % という過去最高の値が得られた。更に、実験条件である 300 mK に温度を上げて緩和時間の測定を行い、239±66 日という値が得られた。偏極寿命は8ヶ月あり、十分に実験に使用できる偏極HD標的の製作に成功した。
3. SPring-8において使用する偏極標的引き抜き装置の改良を行った。前年度、二ホウ化マグネシウム超伝導コイルに電流を流して、初めて保持磁場生成に成功したが、装置の稼働範囲で動かした状態では一部温度が高くなり励磁ができなかった。本年度は 3重筒構造をしている標的引き抜き装置の各層が駆動した状態でもで熱接触しないよう改良を行い、必要な全領域で励磁可能温度以下に冷却されることを確認した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

液体ヘリウムの供給の問題もあり、希釈冷凍機の運転が夏と春の2回しかできず、偏極HD標的の試作が1回しかできなかった。また、前年度の修理後、まだ冷凍機の冷却性能が復帰していない標的用冷凍装置の冷却試験が本年度中にはできなかった。更に、偏極引き抜き装置の試験中に水平・垂直回転台の回転ギアを破損し、年度末にようやく修理が完了した。そのため、偏極標的の運搬テストと標的用冷凍装置への組込みは再び次年度へ持ち越すこととなった。

今後の研究の推進方策

先ず、標的セル装着条件のもとでは希釈冷凍機の冷却温度が高くなる原因を究明する。そのため、偏極度測定NMRコイル用の台座を改造し、物質量を減らして輻射による熱流入を抑える改良を行ったのち、再度、偏極HD標的の作成を行う。但し、仮に到達冷却温度が改善しなくても、現状で実験に使用できる標的の作成には成功しているので、実験遂行は可能である。
光ビームに関しては、1/4波長版を用いて直線偏光ビームから円偏光ビームに変換するシステムを構築し、その偏光度を測定する。標的用冷凍装置の冷却試験を行い、冷却性能を確認した後、偏極HD標的の運搬と実験装置への組み込み試験を行い、H27年度内に偏極HD標的を用いた光生成反応の測定を開始する。

次年度使用額が生じた理由

研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため当初の見込み額と執行額は僅かに異なった。

次年度使用額の使用計画

研究計画に変更はなく、次年度使用額も含め、当初予定通り研究を進めていく。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 備考 (1件)

  • [備考] 偏極HDターゲットプロジェクト

    • URL

      http://www.rcnp.osaka-u.ac.jp/Divisions/np1-b/HD/

URL: 

公開日: 2016-05-27  

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