平成27年度は、微小ダスト検出器の大面積化に力を入れた。平成26年度には、銅箔フィルムを使ったポリイミド膜を利用した微小デブリセンサに、小型の圧電素子をピックアップセンサとして貼り付けて、微小デブリが貫通したときの衝撃を検出することで、大面積ダスト検出器の可能性を見出したが、使用したポリイミド膜が銅箔フィルムであった。平成27年度は、通常のポリイミド膜で衝突銃を利用した微小球衝突実験を実施した。その結果によると、平成26年度の実験の結果と同様に、貫通した点を中心に20μm程度の薄いフィルムを応力波が伝播していくことが実験的に確認された。3つ以上のピックアップセンサで読み取った応力波のタイミング差から衝突位置(貫通位置)の同定をすることも可能だということも平成26年度の実験同様に確認できた。ただし、ピックアップセンサからの出力信号の振幅は、貫通した微小球のサイズや速度などに関係ないことも同じ結果であった。このことについては、使用したPZT製のピックアップセンサが正方形の板状(10mmX10mmX2mmt)であったため、読み取るべき応力波の到来方向によって、フィルムを伝わる波からピックアップセンサへの伝達量が変わるからではないかという推測を得た。この仮定を検証するために丸型のセンサを開発した。衝突銃による検証実験は、マシンタイムなどの関係から平成27年度中は実現できなかった。 一方、40mmX40mmX2mmtのPZT素子を利用した低速ダスト検出器については、平成26年度までに製作した微小球ダスト落下装置(低速ダストのセンサへの衝突を模擬する実験装置)が、微小球のサイズが1mm以上だとスムーズに扱えていたのに、1mm未満になるとその速度測定や微小球そのものの扱いが非常に困難になることが分かった。この問題を解決するために、サイズが1mm未満の微小球の落下装置について空力を使った方式を採用して実験的な検討を行った。
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