研究課題/領域番号 |
25400307
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
大山 雄一 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 講師 (30213896)
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研究分担者 |
山田 善一 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授 (00200759)
石田 卓 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 研究機関講師 (70290856)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | J-PARC / ニュートリノ / T2K / 放射線 / 放射化水 / ベリリウム / イオン交換樹脂 |
研究実績の概要 |
J-PARCニュートリノビームラインのT2K実験において、電磁ホーンやヘリウム容器、ビームダンプを冷却するために冷却水を用いている。この冷却水はビーム起源の主に中性子によって核破壊を生じ、放射線同位元素が生成される。このうち実験の大きな障害となるベリリウムの除去効率を高め、また処理量を増やすことを試みた。 2014年度はハドロン実験室の放射線漏れ事故のため実験開始が遅れ、また加速器のビーム強度増強も予定通りには進まなかった。ニュートリノビームラインでの総陽子数は2.09x10^20 potであり、これは101kW x 10^7秒のビームに相当する。このビームに対して124GBqのベリリウムが生じた。これをイオン交換樹脂EG-4A-HGを用いて排水中の総ベリリウム量を12.0MBqまで減じることが出来た。除去率は99.990%である。これは最終目標の99.99%を達成している。 この先数年で750kW相当のビーム、将来計画では2000kW相当のビームで生じるベリリウムを同じ除去率で除去するシステムを構築する必要があり、除去率は十分であっても今後より大量のベリリウムを除去できるよう工夫が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2013年5月のJ-PARCハドロン施設の事故によるビーム時間の減少は十分に回復しておらず、また加速器のビーム強度の増強も遅れている。2014年度の101kWx10^7秒相当のビームは、2013年度の106kWx10^7秒相当ビームとほぼ同じであった。本研究の目標は750kWx10^7秒相当のビームに対する放射化水処理であり、ビーム強度が増加した場合の除去効率や処理方法の研究には至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの研究で放射化水からのベリリウム除去率は十分目標値に到達したと言える。より高濃度のベリリウムに対応する必要がある。そのためにはイオン交換樹脂の劣化等についての研究も必要となる。いずれにせよビーム運転のパワー増強と運転時間の確保が不可欠である。
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次年度使用額が生じた理由 |
加速器のビーム強度増強が遅れたため。
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次年度使用額の使用計画 |
2014年度の使用計画をそのまま先送りにして使用する。
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