今年度は低物質量半導体ピクセル検出器の製作と静特性評価に関して活動を行った。連携研究者の助けを借りてダイヤモンド半導体検出器、炭化シリコン半導体検出器の製作を行い静特性評価を行い当初の目標が達成できた。 低質量暗黒物質探索用検出装置を製作する場合、低エネルギーではリーク電流と検出器容量によるイントリンジックノイズがエネルギー分解能を決定する。このノイズを目標の25電子数以下に押さえるためには、リーク電流を10電子/msec/100μm2以下にしておくことが望ましい。ダイアモンドに関してはエレメント6社から結晶サンプルを購入し、パッド検出器とピクセル検出器をそれぞれ製作し測定した。電極製造プロセスは連携研究者の研究室において行わせていただいた。その結果、面積比によるリーク電流の違いは定量的に押さえられ、絶対値に関しても上記要件を満たしていることが明確になった。一方炭化シリコンに関しては、複数の会社の高抵抗基板サンプルを購入し電極生成を行い性能評価を行った。残念ながらマイクロパイプは少ないが、高抵抗基板特有の低レベル準位からのリーク電流の寄与があり、基板をそのまま検出器として使用する事が困難である事がわかった。よってエピレイヤーを厚くし検出器として使う方針へ変更し、現状厚いエピを使用しピクセル検出器を製作した。この製作は連携研究者の研究室で行わせていただいた。現状ピクセル検出器製作に関しいくつかのノウハウが必要なことはわかっておりそれらは連携研究者と共同で制御できる所まで来ている。今後は実際の検出効率の測定及び低雑音読み出し集積回路の設計に重心を移す。
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