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2016 年度 実績報告書

空間反転対称性がない半導体表面に創成されるスピン物性と単原子層超伝導

研究課題

研究課題/領域番号 25400316
研究機関東京大学

研究代表者

枡富 龍一  東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (00397027)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2017-03-31
キーワード半導体表面 / 表面2次元電子系 / 低次元超伝導
研究実績の概要

吸着原子が誘起する2次元電子系において、スピン間相互作用(s-d相互作用)を走査トンネル分光顕微鏡(STM)により検出するため、半導体表面にCoやCrなどの磁性体を吸着させて測定を行った。一般的に非磁性探針を用いたSTMではスピンに関する情報を得ることは困難である。しかしながら、本研究ではスピン分離を伴った2次元電子系を半導体表面に形成している。このことにより表面2次元電子がスピンフィルターとして働き、スピンの向きに依存したトンネル電流を測定することが可能である。現時点において、磁性原子が誘起した2次元電子系においてシュブニコフ・ドハース振動の観測に成功し、その結果の解析から半導体表面にスピン分離したランダウ準位が形成させていることが判った。さらに、STMを用いて磁性原子の空間分布に関する知見を得ることができた。将来的には本研究により構築された技術を用いて、スピン間相互作用の空間分布を明らかにすることが期待される。
GaAs劈開表面上に作成された単原子層の鉛を用いた研究においても新たな進展が見られた。GaAs基板上に形成された単原子層鉛は空間反転対称性の破れと鉛の強いスピン軌道相互作用により巨大なラッシュバ効果が働いていると考えられる。このことによりパウリ限界を遥かに超える臨界磁場が観測される。一方、相関物質を用いた単原子層鉛の2層系では各々の層では空間反転対称性が破れているが、全体として空間反転対称性が保たれている。このことにより臨界磁場の減少が期待される。本研究においては相関物質にSbを用いて2層系を作成し臨界磁場の温度依存性を測定した。その結果、2層系では1層系に対して臨界磁場の減少が観測された。これは2層系にすることにより空間反転対称性の破れが回復したことに起因すると考えられる。この成果は2次元超伝導において空間反転対称の制御が可能であることを示したものである。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 単原子層超伝導と空間反転対称性の破れ2017

    • 著者名/発表者名
      岡本徹、枡富龍一
    • 雑誌名

      固体物理

      巻: 52 ページ: 97-103

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 走査トンネル顕微鏡と電気抵抗測定で探る量子ホール効果2017

    • 著者名/発表者名
      枡富龍一、岡本徹
    • 雑誌名

      東京大学低温センター 年報

      巻: 平成27年度 ページ: 6-12

  • [学会発表] Pb超薄膜超伝導に対する磁性不純物の影響と平行磁場印加による超伝導転移温度の上昇2017

    • 著者名/発表者名
      庭田正人、枡富龍一、岡本徹
    • 学会等名
      日本物理学会年次大会
    • 発表場所
      大阪大学(大阪府、豊中市)
    • 年月日
      2017-03-17 – 2017-03-20

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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