サポナイト層状粘土鉱物中のマトリックス拡散を,ポジトロニウム分光によりオングストロームスケール空間を直接プローブすることにより調べた。原子吸光法によって得られたセシウム濃度の距離依存性データから,拡散係数が2×10-7 [cm2s-1]と評価された。ここで得られた拡散係数は,ミクロ孔領域の空隙だけでなく,巨視的な空隙も全て含んだ拡散係数である。一方,ポジトロニウム分光により得られたオングストローム空間深さ依存性データから,拡散係数を3×10-8 [cm2s-1]と評価された。ここで得られた拡散係数は,マトリックス拡散係数に相当する。ナノ空孔を介した拡散係数が,およそ一桁小さいことがわかった。
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