現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度、マクロな視点から複合ペロブスカイト型強誘電体混晶の物性の大枠を理解することを目的として、[001]-, [011]-, [111]-方向の DC 電場を試料に印加して、MPB 近傍物質の温度電場相図とその異方性を明らかにする研究を行った。以下に平成25年度の具体的な成果を示す。 1.DC 電場下の誘電率測定装置の改良: 本研究では、DC 電場印加状態で誘電率が測定できる装置を使用する。本装置は、最大 800 Vの電圧まで印加可能である。試料とゲインフェースアナライザーの間には、ハイパスフィルター用のコンデンサーが使用されていて、本研究では、それを補正するために、オリジナルの等価回路を仮定して、オープン・ショート・ロード補正を行っている。本年度は、測定値の補正方法を改良した。 2.PZN-PT混晶系の熱平衡状態の平均構造の解明: Pb(Zn1/3Nb2/3)O3-xPbTiO3 (PZN-xPT) 混晶のエンドメンバーであるPZNはリラクサーとよばれ、散漫な相転移を示すことが知られている。このことから、濃度温度相図上の相境界は不明であったが、本研究により、菱面体晶相都政方晶相の間の斜方晶相の安定領域を除いて、x = 4.5, 6, 7, 8, 9% の組成の温度電場相図を明らかに出来た。 誘電率は構造相転移に非常に敏感な量であり、温度電場相図を調べるときのDC電場が不均一構造を消すので、マクロな系の平均構造としての熱力学的平衡状態を解明するには最適の方法であるあることがわかった。本年度は、PZN-xPT だけでなく、PMN-29.5%の電場相図も明らかに出来た。 本年度の計画に、斜方晶相の安定領域を明らかにすることを目的にして、現在、安定領域の研究を行っているが、この物質は経歴依存性が強いことから、実験に時間がかかっている。斜方晶相の安定領域の解明は来年度に行う。
|