研究実績の概要 |
最終年度は、『単層MoS2の化学ドーピングによる励起子発光非線形の変調』についてこれまでの実験結果を元に解析を行い論文出版した(Appl. Phys. Express, 9,055202(2016))。また、引き続き『原子層材料を用いた光電変換の研究(Nanoscale, 7, 14476 (2015))』や『原子層ヘテロ構造における励起子ダイナミクス』についても研究を行い、応用物理学会で招待講演を行った(光電変換応用へ向けた原子層遷移金属ダイカルコゲナイドの光学特性 第76回応用物理学会秋季学術講演会)。 最も大きな進捗があったのは、MoS2とMoSe2からなる原子層ヘテロ構造の励起子発光に関しての研究である。温度依存性や発光寿命、発光励起分光などを行い、120K以下の温度で層間励起子に由来する発光が観測されることを確認した。また、FET(電界効果トランジスタ)を作製し、ドーピングによる層間励起子発光ダイナミクスの変調にも成功した。これらの成果をNT15、応用物理学会、物理学会などで報告しており、現在論文投稿へ向けた解析を進めている。 さらに、新たな原子層材料として、黒リンをはじめ、単層MoTe2やGeS2などの励起子光物性に関しても研究を行い、『MoTe2の均一発光線幅の温度によるブロードニング』に関して論文発表(Phys. Rev. B 93, 075411 (2016))するなどの成果をあげている。
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