研究課題/領域番号 |
25400325
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
安食 博志 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60283735)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 量子もつれ光子対 / 共振器 / 量子ドット / ドレスト状態 / 電磁界解析シミュレーション |
研究概要 |
量子もつれ光子対を共鳴散乱によりオンデマンドに生成するためには、パルス光を入射する必要がある。そこで、共振器に量子ドットを埋め込んだ系にパルス光を入射した場合において、高速かつ高効率な量子もつれ光子対を生成するための条件を理論的に解析した。 強結合領域にある共振器-量子ドット系はドレスト状態を介したカスケード放射により、量子もつれ光子対を生成することができる。特に、この系では通常のカスケード放射では生成できないシングレット型の量子もつれ光子対も生成できる。そこで、シングレット型の量子もつれ光子対の生成時間を共振器のQ値の関数として解析的に求めた。さらに、入射光パルスの強度と時間幅の関数としてシングレット型の量子もつれ光子対が生成されるドレスト状態の占有度を調べた。占有度が高くなるほど高効率に量子もつれ光子対が生成される。同時に、ドレスト状態の占有度に対するもつれ光子対の度合いを調べた。以上の計算から、励起子と光(共振器中)の相互作用が強くてQ値が大きくなるほど、量子もつれ光子対の生成効率が高くなることが分かった。ただし、Q値を大きすぎると光子対の生成時間が長くなるという欠点がある。そこで、これまで報告されてきた相互作用の強さとQ値の範囲内で、高速かつ高効率な量子もつれ光子対の生成条件を調べた。その結果、共振器を用いない場合よりも高速に高い効率で量子もつれ光子対を生成できる条件が明らかになった。 この他、新しいタイプの共振器として「半導体ナノギャップ共振器」を提案し、その性能を調べるための電磁界解析シミュレーションを開発した。このシミュレーション法により、これまで計算できなかった任意形状に閉じ込められた励起子による光散乱をシミュレーションすることが可能になった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
共振器-量子ドット系にパルス光を入射してオンデマンドに量子もつれ光子対を生成するときの最適な条件を明らかにしたから。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、共振器-量子井戸系の量子もつれ光子対生成の最適な条件を調べる。
|
次年度の研究費の使用計画 |
予定していた計算機の販売が遅れたため。 前年度に予定していた計算機の購入
|