量子スピン液体状態の有力な候補と考えられていたが謎も多いフラストレートした磁性体 Tb2Ti2O7 を詳細に研究した。このためには Tb2+xTi2-xO7+y の純良単結晶、すなわち微小な組成 (x, y) をコントロールした結晶を育成することが非常に重要と考え、試行錯誤の後、結晶育成に成功した。そして純良単結晶を用いた比熱・磁化測定、中性子散乱実験等を行い、この系は磁気的スピンのみならずフラストレートした電気的多極子自由度を持つ系であること、また微小な組成変化により多極子秩序状態と量子スピン液体状態の間を量子相転移することを発見した。
|