研究課題/領域番号 |
25400355
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研究機関 | 一般財団法人総合科学研究機構(総合科学研究センター(総合科学研究室)及び東海事業 |
研究代表者 |
松浦 直人 一般財団法人総合科学研究機構(総合科学研究センター(総合科学研究室)及び東海事業, その他部局等, その他 (30376652)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 巨大応答 / 不均一構造 / 自己相似性 / フラクタル次元 / 中性子準弾性散乱 / 中性子小角散乱 / リラクサー強誘電体 |
研究実績の概要 |
平成28年度では、元素置換によりリラクサーPMN-30%PTから、ノーマルな強誘電体に近いPMN-37%PTへと系を変化させて、中性子小角散乱実験を行い、下記の結果・成果が得られた。 1.ノーマルな強誘電体に近いPMN-37%PTでもリラクサー強誘電体PMN-30%PTと同様に、波数ベクトルのベキ乗に従う中性子小角散乱強度が観測され、自己相似なドメイン構造がPMN-37%PTでも存在していることが示唆された。 2.PMN-30%PTとPMN-37%PTとの違いは、小角散乱の角度依存性に見出された。PMN-37%PTでは、PMN-30%PTでは見られなかった[100]方向に延びる小角散乱が観測され、これは正方晶の対称性を持ったマイクロドメインの出現を示唆している。 3.また、PMN-30%PTとPMN-37%PTの小角散乱の比較から、PMN-30%PTでは分極回転が起きていることが示唆され、巨大応答はマイクロドメイン内の分極回転自由度と強く相関していることが分かった。 得られた関連する成果は、学会、研究会等を通じて順次発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
巨大な誘電・圧電応答を示すリラクサー強誘電体や超巨大磁気抵抗現象を示すマンガン酸化物で見られる不均一なドメイン構造について、本研究では、空間相関(初年度:平成26年度)と時間相関(次年度:平成27年度)の両面から自己相似フラクタル性を定量的に評価してきた。最終年度となる平成28年度に、当初の計画通り、不均一な組成から均一な組成へと元素置換により系を変化させ、空間相関の変化を定量的に抽出することに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
誘電率、磁化率測定などのマクロスケールの応答と直結する超小角散乱領域における中性子小角散乱実験を平成27年度に予定していたが、韓国の研究用原子炉HANAROが予定外に停止して実験が出来なかった為、その為の旅費、論文投稿費を平成28年度に繰り越した。韓国の研究用原子炉が再稼働次第(予定:9月)、実験を行い、得られた成果は学会や学術誌等に順次発表していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年12月に韓国の研究用原子炉HANAROを用いて中性子散乱実験を行う予定であったが、原子炉の再稼働が当初の予定より遅れて平成28年9月に延期され、中性子散乱実験も9月に延期になったため、補助事業の延長を申請した。
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次年度使用額の使用計画 |
9月に予定されている韓国の研究用原子炉HANAROにおける中性子散乱実験の旅費、および成果取りまとめに使用する。
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