本計画は、スクッテルダイトおよびその関連物質において、伝導電子とf電子の混成に起因するフラストレートした秩序状態の探求を目指したものであった。その過程で、長年実験理論両面で問題になっていたSmRu4P12の磁場中秩序状態が、新奇な磁性・電荷共存相の考え方により良く説明出来ることを、pf混成に基づく有効ハミルトニアンの解析により見出した。また、磁性および電荷相互作用の競合関係による相図の大域的構造を平均場近似により明らかにした。こうした解析により提案された共存相が、実際にSmRu4P12において実現していることが、広島大の松村らによる放射光X線回折実験により明らかにされた。
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