研究課題/領域番号 |
25400364
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
天谷 健一 信州大学, 学術研究院教育学系, 教授 (70261279)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 磁化測定 / 低温 |
研究実績の概要 |
SrRuO4は内部自由度を持つスピン三重項2次元超伝導体であると考えられているが,磁場を[001]軸に垂直に印加した場合,低温領域において特異な常伝導転移(1次転移的な変化)や上部臨界磁場が抑制される現象が観測され,一見スピン三重項超伝導と矛盾する結果も得られている.SrRuO4の超伝導発現機構を確定するには,その超伝導相図を安定化するメカニズムを明らかにする必要があるため,本課題ではカンチレバーを用いたファラデー法による高精度磁力計の開発・立ち上げを行い,得られたSrRuO4微小試料の精密磁化と交流磁化率・比熱を比較し,超伝導相の詳細を明らかにすることを目的にしている.昨年度は,SrRuO4が超伝導を示す温度領域で稼働する微小試料用カンチレバー式ファラデー法磁力計の立ち上げのために,トップロード型冷凍機システムを,申請者の研究室所有の無冷媒冷凍機に組み込み,さらに磁化測定を可能とするために,電磁石設置用架台を冷凍機に取り付けた.また,カンチレバー式ファラデー法磁力計の,測定試料にはたらく磁気力を検知するカンチレバーシステムの設計,電磁石に組み込む磁場勾配用コイルの設計を行った. 本年度は,磁場勾配用コイルと磁気力検知カンチレバーシステム部品の試作を行った.また,磁場勾配用コイルの試作を行ったところ,磁場勾配コイル設置のために電磁石のポールピースの大きさを微調整しなければいけないことが明らかになったため,ポールピースの再設計を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
磁場勾配用コイルと磁気力検知カンチレバーシステム部品の試作等については予定通り行うことができたが,昨年11月の地震により,電磁石と電磁石の中に設置した冷凍機が経度のダメージを受けたため,まず,冷凍機の冷却試験からやり直し,破損部品の修理・装置の点検等を行うことに時間を費やしたため,測定精度を確かめることはできなかった.したがって,進捗状況はやや遅れることになった.
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今後の研究の推進方策 |
カンチレバー式の磁気トルク装置を開発した研究者や連携研究者や他の協力者との連絡を密にし,測定時のノイズ対策などを中心に試作部品の性能チェックを進め,装置の立ち上げを遅れを取り戻すことを考えている.
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末の物理学会出席および共同研究者との研究打ち合わせの旅程が直前で1日短くなったため.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額を27年度予算の旅費に組み込み,研究協力者等と装置開発に関する研究打ち合わせを密に行う。
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