金属化が予言されている固体水素高圧相(III相)の結晶構造解析を目的に、放射光X線回折実験を100Kの低温で超高圧下200GPaまで行い、X線回折データの収集に成功した。得られた観測データから、III相では200GPaまで、水素分子の重心は依然としてhcp構造の格子点近傍にあること、またII-III相転移に伴って、格子定数のc/a比が減少することを明らかにした。この比の減少は、回転楕円体形状を持つ水素分子の回転の秩序化に伴って、分子軸がc軸と角度を成すことに起因する。さらに、300GPaまでのラマン散乱実験から、III相におけるhcp構造の低対称化は230GPa程で生じることが明らかになった。
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