研究課題
ウラン化合物における圧力誘起型相転移とそれに伴う電子基底状態の変化の追求を主な目的として本採択申請を計画した。さらに、新奇なウラン化合物の物性の探索に、磁性と超伝導という観点から研究を進めている。特に磁気転移臨界現象と「スピンゆらぎ理論」に着目しウラン5電子強磁性の特異性を追求した。1. 昨年度に引き続き、多目的型高圧下物性測定用圧力セルの開発を行った。ブリッジマン型圧力セルのガスケット・アンビルの適正化を行った。また、研究代表者が開発した新しい高圧下磁化測定用圧力セルについて、(株)RDサポートと協力して汎用化し、今年度は広島大学に納入され研究代表者は技術指導を行った。2. 平成26年度と26年度に、ウラン強磁性超伝導物質UGe2, URhGeの新奇な磁気臨界現象を明らかにした。超伝導が出現する一軸異方性の強いウラン強磁性化合物の新しいスケーリング則の存在が示唆される。本年度はUCoAlの「三重臨界点」近傍の磁化の振る舞いについて詳細に実験データを取得し、そのスケーリング則について調査を行い、低次元磁性体の起因する特異な臨界現象を明らかにした。同じ結晶構造を形成するURhAlの臨界現象にも同種の傾向が見いだされた。3. 遷移金属間化合物(3d電子系)の強磁性特性を解明した「スピンゆらぎ理論」をウラン/ネプツニウム/プルトニウム化合物強磁性体(5f電子系)に適用しその妥当性を評価した。合計45個の強磁性物質について、磁気特性が「スピンゆらぎ理論」で説明できることを明らかにした。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)
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