本研究の目的は、真正粘菌というモデル生物を例に、ニューラルネットワークと脳内血管網との相互作用によるエネルギー供給の最適化とそのそのメカニズムにアプローチすることを目的としている。真正粘菌は管中の原形質流動を用いることにより情報処理を行っている。平成25年度は、単一振動子と見なせる微小な真正粘菌を用いて振動光に対する感受性の実験を行った。平成26年度は、最もシンプルなネットワークとして、2点間での真正粘菌チューブの生成において、忌避、誘引、最短経路の生成と周期的光刺激の周波数依存性を実験的に明らかにした。本年度は、更なる複雑なネットワーク構造の実験的研究と数理モデルを用いた研究を行った。そこでは、 1.複雑な選択肢があるなかので最短経路生成に関する実験を行い、その光刺激の周波数依存性を明らかにした。 2.上記の実験に関する数理モデルの構築を行い、その数理モデルの妥当性を議論した。 3.複雑なネットワークを持つ真正粘菌に局所的な外部刺激(脳内血流量に対応する)を与え、そのネットワークの安定性やネットワーク構造の組替えなどに関する議論を行った。
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