複素ヒルベルト主成分分析(CHPCA)とランダム行列理論(RMT)を組み合わせ,複雑多変量系におけるリード・ラグ関係などの動的相関を効果的に検出できる新手法を開発した。RMTは統計的に有意味な主成分を抽出するための明確な判定規準を与える。加えて,時系列が自己相関を含む場合にも有効な帰無仮説を提供するランダム回転シャッフリング法も開発した。先行,一致,遅行の特性をもつことが確立されている景気動向基礎指標データ群に新手法を適用し,その有効性を確認した。また,得られた手法に用いて,株式市場における動的相関構造,個別価格の集団運動,国際的な金融ネットワークにおける同期コミュニティなどを明らかにした。
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