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2015 年度 実施状況報告書

解ける量子力学模型と新しい直交多項式

研究課題

研究課題/領域番号 25400395
研究機関信州大学

研究代表者

小竹 悟  信州大学, 学術研究院理学系, 教授 (40252051)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2017-03-31
キーワード数理物理 / 解ける量子力学模型 / 離散量子力学 / 例外直交多項式 / 多添字直交多項式 / 無反射ポテンシャル / アスキースキーム / 再帰関係式
研究実績の概要

既知の量子力学模型を変形して得られた,多添字直交多項式等の新しい直交多項式で記述される解ける量子力学模型についての知見を得る事が本研究の目的である。
通常の量子力学系(シュレディンガー方程式は2階の微分方程式)での無反射ポテンシャルを系統的に得る方法を真似て,虚数シフトの離散量子力学系(シュレディンガー方程式は2階の差分方程式)に対して無反射ポテンシャルを得る方法,及び無反射ソリトンポテンシャルの離散量子力学版の反射係数・透過係数を与えた論文を昨年度投稿したが(雑誌論文1),編集者とやり取りをし論文を改善して,掲載となった。
ラゲール,ヤコビ,ウィルソン,アスキー・ウィルソンの M-添字の多添字直交多項式が満たす変数依存な再帰関係式に加えて,双直交性を議論する際に重要となる定数係数の再帰関係式を昨年度得て投稿していたが(雑誌論文2),編集者とやり取りをし論文を改善して,掲載となった。
この定数係数の再帰関係式は,Mが小さい場合には証明を与える事が出来たが,一般の場合には予想であった。ラゲールとヤコビの場合に,多添字直交多項式が満たす微分方程式の解の構造を精査する事により,定数係数の再帰関係式に証明を与える事が出来た。また,双直交性について詳しく調べた(雑誌論文3)。
実数シフトの離散量子力学の解ける模型は以前の論文で調べたが,q-Meixner,q-Charlier多項式の双対多項式が現れる系は直交性が破綻していた。また,直交関係がJackson積分を用いて表されるbig q-Jacobi多項式等については量子力学的定式化が出来ていなかった。両者は深く関係しており,2成分系の量子力学を用いる事により,この2つの問題を上手く解決する事が出来た。big q-Jacobi多項式等を用いた可解な出生死亡過程も構成した。これらの結果は4月に入って preprint arXiv に載せた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の目的遂行のためには多添字直交多項式そのものが持つ性質について明らかにしておく事が重要である。ラゲール,ヤコビ,ウィルソン,アスキー・ウィルソンの場合について,M-添字の多添字直交多項式が満たす変数依存な再帰関係式に加えて,双直交性を議論する際に重要となる定数係数の再帰関係式を与えた論文を改善し雑誌に掲載された。この定数係数の再帰関係式は,Mが小さい場合には証明を与える事が出来たが,一般の場合には予想であった。その後,ラゲール及びヤコビの多添字直交多項式に対しては証明を与える事が出来た。
虚数シフトの離散量子力学系に対して無反射ポテンシャルを系統的に得る方法を与え,無反射ソリトンポテンシャルの離散量子力学版に対して反射・透過係数を与えた論文を改善し雑誌に掲載された。
実数シフトの離散量子力学の解ける模型のうち,q-Meixner多項式等の双対多項式が現れる系と直交関係がJackson積分を用いて表されるbig q-Jacobi多項式等については未解決であったが,2成分系の量子力学を用いる事で解決出来た。この結果をまとめた論文は4月に入って完成した。
多添字直交多項式が現れる量子力学系において一般化された閉関係式が成り立つ事が予想されていたが,その本質的な部分を解決する事が出来たので,現在論文にまとめる作業を進めている。
定数係数の再帰関係式の証明は昨年度の研究結果を進めたものである。実数シフトの離散量子力学で直交関係がJackson積分で表されるbig q-Jacobi多項式等の量子力学的定式化は8年程前からの懸案事項であったがようやく解決した。これを足掛かりにして多添字big q-Jacobi多項式の構成が期待出来る。一般化された閉関係式は研究計画で述べてあったが,論文にまとめられる状況になってきた。これらの事から((1)と(2)の中間位であるが)(2)という評価をした。

今後の研究の推進方策

交付申請書の研究実施計画に書いた話題について研究を進めて行く事に特に変わりはないが,その順序については現在の進行状況を勘案して多少入れ替えていく。
多添字直交多項式が現れる量子力学系において一般化された閉関係式が成り立つ事が予想されていたが,その本質的な部分を解決する事が出来たので,先ずはこれを論文としてまとめる。
アスキースキームの直交多項式のうち,直交関係がジャクソン積分で与えられる直交多項式を実数シフトの離散量子力学系として定式化出来たので,それを基にしてそれらの多添字直交多項式を構成したい。
実シフトの離散量子力学系で,ラカー,q-ラカーの多添字直交多項式は与えてあるが,ウィルソン,アスキー・ウィルソンの時に与えた再帰関係式と同様な再帰関係式がどうなるかを調べる。また,その極限として得られる多添字多項式について調べる。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2016 2015 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Recurrence Relations of the Multi-Indexed Orthogonal Polynomials : III2016

    • 著者名/発表者名
      S.Odake
    • 雑誌名

      Journal of Mathematical Physics

      巻: 57 ページ: 023514 (24pp)

    • DOI

      10.1063/1.4941087

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Solvable Discrete Quantum Mechanics: q-Orthogonal Polynomials with |q|=1 and Quantum Dilogarithm2015

    • 著者名/発表者名
      S.Odake and R.Sasaki
    • 雑誌名

      Journal of Mathematical Physics

      巻: 56 ページ: 073502 (25pp)

    • DOI

      10.1063/1.4926351

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Recurrence Relations of the Multi-Indexed Orthogonal Polynomials : II2015

    • 著者名/発表者名
      S.Odake
    • 雑誌名

      Journal of Mathematical Physics

      巻: 56 ページ: 053506 (18pp)

    • DOI

      10.1063/1.4921230

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] big q-Jacobi多項式と離散量子力学2016

    • 著者名/発表者名
      小竹悟
    • 学会等名
      日本物理学会第71回年次大会
    • 発表場所
      東北学院大学(宮城県・仙台市)
    • 年月日
      2016-03-20
  • [学会発表] 離散量子力学における無反射ポテンシャルの構成とソリトンポテンシャル2015

    • 著者名/発表者名
      小竹悟
    • 学会等名
      日本物理学会2015年秋季大会
    • 発表場所
      大阪市立大学(大阪府・大阪市)
    • 年月日
      2015-09-27
  • [備考] Recent Papers

    • URL

      http://azusa.shinshu-u.ac.jp/~odake/paper.html

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公開日: 2017-01-06  

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