本年度は、方法論の整備を意図し、ノボトニー法の非常に基礎的な系への適用を推し進めた。(2+1)次元横磁場イジング模型がそれである。方法論の汎用性、信頼性を精査し、その有用性をデモンストレーションした。特に、フィデリティ感受率という量を通して、秩序相と無秩序相とのあいだの臨界現象を解析した。フィデリティとは、パラメータの微少な食い違いに対する、基底状態の直積の絶対値の減少を意味する。この応答関数がフィデリティ感受率となる。その結果次のことが判明した。 1、フィデリティ感受率を通して、臨界現象を精密に解析することができる。ノボトニーの方法と併用すると有効である。つまり、基底状態臨界現象の、有限クラスターにおける研究に威力を発揮する。 2、パラメータの変化として、従来は、温度(に対応するものが)研究されてきたが、本研究では、それを、磁場方向にも拡張した。結果として、臨界現象の全貌を、このスキームによって明らかにすることができるようになった。なぜなら、臨界指数は、独立なものが二つしかないので、最低、二つの独立な情報が得られれば、全貌が判明するからである。逆に言うと、二つは知る必要があるので、当該拡張にかかわる方法論の改良は、極めて、本質的である。 3、ノボトニー法の、方法論的信頼性の吟味、改良を行った。とくに、スクリュー境界条件のスクリュー各の微調整は、結果の信頼性、系統性の確保に有益である。特に、当該作業コストが、軽微で、容易に移入できるという利点を強調する。
|