運動量依存局所変分理論を第1原理ハミルトニアンへ拡張して,第1原理運動量依存局所変分理論の枠組みを完成させた.理論を鉄族遷移金属全体に適用し,定量的計算を行った結果,(1)常磁性フント結合エネルギー欠如がバンド理論における磁気エネルギー過大評価の原因であること,(2)フント結合した局在モーメントの振幅は実験結果を定量的に説明すること,(3)強い電子相関のために運動量分布関数はフェルミ分布関数から大きくずれること,(4)有効質量も電子相関により増大し,これが低温側の比熱のデータを矛盾なく説明することなどを明らかにした.今後,この理論を用いて第1原理非局所自己無撞着励起の理論を発展させる.
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