研究実績の概要 |
1. ファセティング転移(1次元ボーズ粒子の凝集問題): 点型引力1次元準非貫通型ボーズ粒子の凝集問題の表面版はステップ・ファセティング転移である。ファセティング転移についてp-RSOS模型による不連続な表面張力と結晶成長抑止効果について点型引力エネルギーの大きさと温度を変えて密度行列繰り込み群(DMRG)計算を行った。その結果のステップ・ファセティングに関するダイヤグラムをオープンアクセスの論文(AIP Advances, 6, 035301, (2016))として出版した。ステップ・ファセティング転移による結晶成長抑止現象は、ナノテクノロジーでの重要性が理解され、半導体に関する国際会議(SemiconNANO2015、2015年9月、台湾、新竹市)で招待講演を行った。また、表面に関する国際会議(ALC’15、2015年10月、島根)でファセティング・ダイヤグラムの報告をした。 2. 1次元ボーズ粒子と表面模型の関係:表面模型におけるステップ・ファセティングの背後にある物理として、点型引力1次元準非貫通型ボーズ粒子の凝縮問題とその「相図」に関する論文を先のオープンアクセスの論文のサプルメントとして出版した。(11)方向に傾いた微斜面ではステップ・ファセティングが生じるが、(10)方向に傾いた微斜面ではステップ・ファセティングが生じない。この謎を、引力の無い制限SOS模型(RSOS模型)に関する詳細なDMRG計算から、解明することができた。 3. Si(111)表面模型計算:昨年、LEEMによるSi(111) 面のステップ・スティフネス測定値から温度T=0でのステップ・エネルギー値を定める論文を発表したが、重要性が理解され、結晶成長に関する国際会議(3CG2015、2015年12月、中国、香港)で招待講演を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請で掲げた目的を概ね達成している。 1. 点型ステップ間引力がある微斜面の模型(p-RSOS模型)についてDMRG計算を行い、表面張力の異常からファセティング・ダイヤグラムを求めた(AIP Advances, 6, 035301, (2016)、オープンアクセス)。 2. オリジナルRSOS模型についてDMRG計算により得られた結果を、上記AIP Advances, 6, 035301, (2016)のサプルメントとして出版した。すなわち、表面上のステップに対応する1次元ボーズ粒子系が冷却Rbと同様にTonks-Girardeau regime にある必要があること、点型引力の実効的到達距離(ゼロ点振動によって生じる)が、幾何学的な排除堆積球の直径より大きいことが必要であること、を示した。 3. オリジナルRSOS模型について、(10)方向に傾いた微斜面のDMRG計算から、基底状態エネルギーの量子粒子密度による展開のべきは奇数次のみであり、1次元自由フェルミオン系に対応することが得られた。(11) 方向に傾いた微斜面のDMRG計算から、基底状態エネルギーの量子粒子密度による展開のべきには4次の項が存在し、希薄な極限で1次元ハードコアボゾン系が対応することが得られた(AIP Advances, 6, 035301, (2016)のサプルメント)。 以上のように、当初の目的をほぼ達成した。
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