研究課題/領域番号 |
25400435
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研究機関 | 一般財団法人総合科学研究機構(総合科学研究センター(総合科学研究室)及び東海事業 |
研究代表者 |
坂口 佳史 一般財団法人総合科学研究機構(総合科学研究センター(総合科学研究室)及び東海事業, その他部局等, その他 (20397590)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 中性子散乱 / ナノ構造 |
研究実績の概要 |
本研究では、空間的束縛を受けた液体イオウ中の高分子の自己秩序化の可能性を、斜入射中性子小角散乱法によって探ろうとするものである。平成26年度では、その準備として、J-PARCにおいて溶融液体の小角散乱実験を行うための電気炉の製作、整備を行った。また、平成25年度に引き続き、同じランダム系でイオウを含むアモルファスGe-S系薄膜で観測される銀の光拡散現象のダイナミクスを、時分割中性子反射率(斜入射光学系)測定を行うことで明らかにしようとした。より詳細な解析を進めることで、これまでに得てきた結果、すなわち、①光照射後、第1に起こる準安定な銀濃度の高い反応層の形成、②続いて起こる銀濃度の高い反応層から銀濃度の低い反応層への銀の拡散、が生じているとする銀の拡散ダイナミクスの描像について確証を得ることができた。一方、解析を進める過程で、①の準安定層の形成過程が単純な銀層から銀濃度の高いAg-Ge-S層への移行という形ではうまく説明しきれないこともわかってきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初、J-PARCパルス中性子施設の中性子反射率計ビームラインにおいて、斜入射中性子小角散乱測定オプションの導入が予定されていたが、準備が遅れており、測定の実現化に向けた見通しは未だ立っていない状況である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、次の2つの方向から研究を進展させていく。 1.液体イオウのナノスケール揺らぎをX線・中性子小角散乱(透過光学系)測定を行い、解明する。さらに、レーザー光源を用いた光散乱実験も同時に進め、自己秩序化に関した知見を得る。 2.アモルファスGe-S系薄膜における銀の光拡散について、中性子反射率(斜入射光学系)測定から引き続き明らかにしていく。さらに、より表面近傍の観測に向いている光反射率測定も、埋もれた界面の観測が得意な中性子反射率測定と相補的に行い、光拡散ダイナミクスの本質に迫るアプローチを行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度では、電気炉整備に費やし、実際の実験まで手が届かなかった。平成27年度に実際の実験を遂行するためには、消耗品諸経費が必要となるため、助成金の使用を平成27年度にまわすことにした。また、平成25年度、26年度と海外での国際的な場で発表を行ったことは大きく得るものがあったが、これを平成27年度においても継続的に行うことは大きな意義があるものと判断し、海外出張旅費分の使用を平成27年度にあてることにした。
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次年度使用額の使用計画 |
電気炉を用いた高温実験のための諸消耗品の購入に充てる。さらに、国際会議出席、発表のための海外出張旅費に充てる。
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