研究課題/領域番号 |
25400436
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
野竹 孝志 独立行政法人理化学研究所, 光量子工学研究領域, 特別研究員 (70413995)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 円偏光二色性 |
研究概要 |
本研究においてはまず、信頼性の高いTHz-VCD分光計測システムを構築することが最重要課題である。その為には優れたTHz光源の開発とTHz帯における偏光制御素子の開発が必要となるが、本年度はまず、構造性複屈折を利用した偏光制御素子の開発に取り組んだ。 従来の光領域や低周波THz領域では、偏光制御の為の波長板として主に自然複屈折を有する石英が用いられてきたが、3 THz以上では透過率が低く、適用が困難である。我々は、THz帯で透過率の高い高抵抗シリコンを材料に用いて、構造性複屈折を利用した波長板の開発を行った。有効媒質近似の下では、サブ波長スケールの周期構造は、周期を持つ方向と持たない方向に対する偏光に対して異なる実効屈折率を付与し、人工的な複屈折性を発現する。この人工複屈折は、格子形状を最適化する事により周波数分散を制御可能であり、波長板としてアクロマティックな動作も原理的に可能となる。数値計算により様々な格子形状と複屈折の周波数分散を精査し、実際にシリコン基板上に、ピッチ・深さともにミクロンオーダーの異なる格子形状を有する複数の素子を、光リソグラフィにより製作した。 次にDAST差周波光源を用いて、製作した人工複屈折波長板の動作特性を調べた。検出器前段に偏光子を設置し、入射直線THz偏光に対して波長板格子軸方向を回転させながら透過光強度を計測した結果から位相遅延を評価したところ、ほぼ設計通りの動作を確認した。これにより、テラヘルツ周波数帯で円偏光を作成することが可能となり、今後、円偏光二色性計測のシステムへと適用する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
テラヘルツ周波数帯で円偏光を制御する素子の開発に成功したため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は円偏光変調システムの開発に取り組み、その後アミノ酸試料を対象として円偏光二色性信号の検出を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
初年度にYAG用励起アンプモジュールを購入する予定であったが、別途入手が可能となったために購入を見送ったため。 今後、蛍光蛋白質試料などを新規に購入する予定であり、予算の使用は滞りなく行う予定である。
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