電気伝導度は,地下の状態,特に水やメルトの存在に敏感な物理量であるが,従来の構造推定において,電気伝導度値と構造長の両スケールについての不定性が問題視されてきた.観測量から正しいスケールをもつ構造を再現することを目的として,本研究では,広帯域MT法とネットワークMT法において,表層不均質で歪められない観測量のみを用いて3次元構造を推定する手法の開発を目指した.このうち,広帯域MT法における位相テンソルと鉛直-水平磁場変換関数に基づいた3次元インヴァージョンコードの開発を終え,いわき誘発地震帯での観測実データに適用した.結果の吟味から,正しいスケールをもつ構造が再現できていたことが確認された.
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