研究課題
基盤研究(C)
Kaguya(KG)及びLunar Prospector(LP)の磁場観測データを用いた磁気異常3成分の月面マッピングを行い、次の成果を得た。(1) 月面上の3成分を推定するインバージョンコードのチューニングを行った(Surface Vector Mapping; SVM)。予察時コードからの主な改良点は、動径成分から水平2成分を求めるプロセスにおいて、動径成分の水平勾配分布を考慮して精度を上げたことである。(2) KG及びLP各々の観測データにつき、強い磁気異常地域(月裏側South Pole-Aitken Basin 北西部)と弱い磁気異常地域(月表側南半球南東部)を解析し、比較検討した。その結果、1度角程度まで両者が一致するパターンが得られ、解析法の信頼性を確認した。(3) 強い磁気異常地域(South Pole-Aitken Basin 北西部)につき、KGおよびLPデータセットの高度分布に相補性があることから、両方のデータセットを合わせて解析した。その結果、より詳細な月面磁気異常図を得られた。(4) 15度×15度の領域で区分した月全球に対し、0.2°グリッドの広域マッピングを行った。次にそれらの広域図を接続し、月全球の月面磁気異常図を作成した(投稿準備中)。さらに、月面動径成分を用いて、磁気異常の球関数展開(最大450次)を行い、SVM法の結果と比較した。主成分分析の結果、両者とも全体としてはほぼ等しいパターンになるものの、球関数展開法では高次項打ち切りによるGibbs現象が現れていて、人工的なパターンが付加されてしまうことがわかった。このGibbs現象は、月磁気異常が1-3度の幅を持つ細かな構造でピークが立っていることに由来しており、球関数展開法よりもSVM法が適していることがわかった。
2: おおむね順調に進展している
交付申請書に記した平成25年度計画事項(1)-(4)を全て達成した。
計画に特に変更なく、当初の方針に従って続行する。
今年度に雇用した研究員が中途で異動となったため、人件費が少なくなった。主な使用計画として(1)国際会議参加旅費(アメリカ、サンフランシスコ:25万円×3名=75万円)、(2)国内学会参加旅費(長野県松本市:5万円×3名=15万円)、(3)物品費(45万円)、(4)その他(論文チャージ等:20万円)、(5)間接経費(42万円)を予定している。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (5件)
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