研究課題
平成26年度の研究において、KaguyaおよびLunar Prospectorの月磁場観測データを用いて、月裏側South Pole-Aitken (SPA) 盆地の北西地域、及び月表側南東部地域の観測データを解析し、次の成果を得た。(1)SPA盆地の北西地域は強い磁気異常群が存在する地域(30km高度で15nT以上)であり、月表側南東部地域は弱い磁気異常地域(30km高度で5nT以下)である。磁気異常の線状構造を定量的に扱う方法として、月面磁気異常3成分マッピング法(Surface Vector Mapping; SVM法)による水平成分から偏角を求め、ローズダイアグラムに投影することを行った。その結果、SPA盆地北西部は2ないし3つの偏角集中方位が見られ、月表側南東部地域では北西・南東方位の偏角集中が見られた。このことから、平行性の高い線状磁気異常の存在が示された。(2)SVM法による高空間分解能磁気異常分布と、月地質図、月地形図とをS上記2つの地域で比較し、一部を除きほとんど相関がないことがわかった。このことから、月磁気異常の磁化ソースは表面物質ではなく月地殻内部の物質であると推定され、貫入岩である可能性が示唆された。さらに、線状重力異常と比較したところ明確な対応はなく、ソース深度の相違があること可能性を示した。(3)SVM法により全球の磁気異常月面マッピングを行い、線状磁気異常構造、磁化ソースについて検討し、国際誌へ投稿中である。(4)月の磁気異常から磁化方位さらに磁極を求めたところ、磁極が2つの地域に集中することがわかった。このことは、月の双極子磁場があり、月地殻が自転軸に対して相対的に数十度回転したことを示唆する。
2: おおむね順調に進展している
交付申請書に記載した平成26年度計画事項をほぼ達成した。
計画に特に変更無く、当初の方針に沿って続行する。
投稿論文の掲載料を2014年度内に請求される可能性があったが、2015年度に持ち越したため。
主な使用計画は、次の通りである。(1)国際会議参加旅費(アメリカ・サンフランシスコ、25万円×2)50万円、(2)論文掲載料(オープンアクセス)30万円。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (5件)
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