研究課題
平成27年度の研究において、KaguyaおよびLunar Prospectorの月磁場観測データを用いて、月磁気異常のグローバルマッピングを行い、次の成果を得た。(1)全磁力最大値はCA地域の磁気異常にあり、700nT以上である。一方、雨の海、東の海地域ではゼロに近い。(2)月磁気異常の全体的な特徴として、細長く伸びていることがあり、幅は約2度である。(3)従来の研究で指摘されたクレータにおける消磁効果が、SVM磁気異常図ではより明瞭に見え、クレータ半径の1-2倍程度の範囲である。(4)33-35億年前の年代が推定されているクレータをSVM法で解析した結果、いくつかのクレータには中央磁気異常がある。磁気双極子近似で磁化を推定し、月磁極を計算すると3つの地域にまとまる。(5)従来の研究で指摘されていうように、顕著な高アルベド地域と磁気異常は月表面磁気異常図でもよく対応する。ライナーガンマ磁気異常の詳細検討と他地域の磁気異常から、表面磁場の伏角が水平に近い場所に、高アルベド地域が分布することがわかった。(6)伸長磁気異常は、ばらばらに分布しているのではなく、系統的な方向性を持っている。このことは、岩脈など貫入岩が磁気異常ソースとして考えられ、約40億年前の月古応力場を記録していることが示唆される。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件)
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