研究課題/領域番号 |
25400447
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
城野 信一 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (20332702)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 木星型惑星 / コア / 原始惑星系円盤 / 面密度分布 / トルク |
研究実績の概要 |
ガス面密度分布の時間進化は乱流粘性の強さに依存している.このため,乱流粘性パラメータを変化させてガス面密度分布の時間進化をした上で原始惑星にかかるトルクを算出し,木星型惑星コア形成にどのような影響があるのかを調べた.その結果,木星型惑星コアがもっとも効率的に形成される粘性パラメータがあることが明らかとなった.粘性パラメータが0.001程度の場合,50回のシミュレーションの内40回において10地球質量以上のコアが形成された.始めはデッドゾーン外縁部に存在していた原始惑星がデッドゾーン内縁に落下,そこで効率よく成長することでコアが形成された. これよりも粘性パラメータが大きくなると,デッドゾーン外縁部における平衡半径が素早く消滅し,原始惑星が内側にすべて落下する.そこでコアが形成される場合もあるが,多くのシミュレーションにおいて原始惑星は中心星まで落下するか,系外に散乱されてしまった.一方で粘性パラメータが小さくなると,ガス面密度分布の時間進化が遅くなる.そのためデッドゾーン外縁部において原始惑星がとどまってしまい,デッドゾーン内縁部に落下する質量が低下してしまう.粘性パラメータが非常に小さくなると,デッドゾーン内縁部よりさらに内側における落下タイムスケールが短くなり,中心星へ落下する質量が増加してしまう. これらのことから,木星型惑星が形成されるために丁度良い粘性パラメータがあることが明らかとなった.系外惑星が高頻度で発見されていることから,原始惑星系円盤の粘性の強さにはそれほどバリエーションが無く,木星型惑星が形成されやすい0.001程度であることが示唆される.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題における最重要な点はすでに初年度に明らかとなったので,現在は様々な状況を想定した上で多くのシミュレーションを行なっている.結果として,どのような場合でも木星型惑星のコアはデッドゾーン内側で形成されることが確認されている.本年度においてはさらに,原始惑星系円盤の粘性パラメータとコア形成とのつながりを明らかにすることができた.
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今後の研究の推進方策 |
デッドゾーンが一つだけ存在する場合については多くのことが明らかになったので,今後はデッドゾーンが複数ある場合,もしくは平衡半径がさらに存在する場合についてシミュレーションを進めたい.今までの研究においても,デッドゾーン内縁部からさらに内側へと原始惑星が移動する場合が多く観察された.これらの天体のその後の進化においては,さらに内側におけるデッドゾーンもしくは平衡半径の存在が重要となる.
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次年度使用額が生じた理由 |
おおむね申請額のとおり使用したが,若干のあまりが出たものである.
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次年度使用額の使用計画 |
USBメモリの購入にあてる.
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