研究課題
本研究の目的は,火山性微動や爆発的噴火に伴う地震といった初動や波形インバージョンなどでは震源決定やメカニズム推定な困難なイベントについて震源位置とメカニズム解を推定する手法を開発してリアルタイムモニタリングに適用できるようにすることである.今年度は,振幅分布を用いた震源決定手法を桜島火山対象に導入し,リアルタイムモニタリングのための試験運用を開始した.マイグレーション法は観測点が対象に対して高密度に配置されている場合は有効な手法である.今研究では昨年度実施した構造探査による火山性微動と爆発地震の観測の場合は有効だと考える.しかし,今年度は現有の定常観測点からのデータを用いたリアルタイムモニタリングを優先することにした.そのため,使える観測点密度は低いためマイグレーション法の適用は難しい.そこで,振幅分布を用いた震源決定法を採用した.そして,震源決定法を桜島火山データ収録システムに導入して,リアルタイムモニタリングのための検証実験をおこなった.この手法では,WINデータを収録システムが受信し共有メモリに格納後,震源を決定する方法であるため実時間で震源が推定される.震源決定精度の評価を行った.爆発地震と火山性微動の震源は昭和火口から水平方向1kmの範囲に推定されるが,鉛直方向は海抜上1kmから海抜下3kmに推定され,ばらつきが大きい.通常の震源決定に比べてもばらつきが大きいので今後の検証が必要である.
3: やや遅れている
所属組織において進行中の大型研究プロジェクトの遂行ならびにSATREPSプロジェクトにおける観測点構築など時間を要した.また,口永良部島噴火や御嶽山噴火を受けて研究面とそれ以外の業務が増えたことも理由に挙げられる.
次年度は手法の検討ならびに解析に集中し,データ収録処理システムへの組み込みを行う.複数のプロジェクトに関わっているため,エフォート管理に気をつけていく.
所属組織において進行中の大型研究プロジェクトの遂行ならびにSATREPSプロジェクトにおける観測点構築など時間を要した.また,口永良部島噴火や御嶽山噴火を受けて研究面とそれ以外の業務が増えたことも理由に挙げられる. そのため,該当年度に予定通りの執行が出来ず,次年度使用額が生じた.
次年度は手法の検討ならびに解析,そしてデータ収録処理システムへの組み込みをする.システムへの組み込みにあたって役務に費用を充てる.
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