西南日本と東北日本の上部・下部地殻およびマントルウエッジのS波偏向異方性の地域的変化を,コンラッド面,モホ面,海洋プレート上面で発生したPs変換波のスプリッティング解析に剥ぎ取り解析を併用して調べた.その結果,両地域に共通して,上部地殻と下部地殻の異方性に違いが見られ,上部地殻の異方性は広域応力場に密接に関係していること,下部地殻の異方性は日本列島に沈み込む海洋プレートの運動の影響を受けている可能性があることが分かった.また,東北地方のマントルウエッジのS波偏向異方性は,前弧側で南北方向,背弧側で東西方向が卓越することを示した.
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