研究課題/領域番号 |
25400458
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 国立天文台 |
研究代表者 |
伊藤 孝士 国立天文台, 天文データセンター, 助教 (40280565)
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研究分担者 |
吉田 二美 国立天文台, 国際連携室, 専門研究職員 (20399306)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 小惑星 / オールト雲 / 天体力学 / 衝突 / 彗星 |
研究概要 |
本事業に関連する研究計画として、本年度は太陽系最外縁部にあるオールト雲天体の力学進化の計算を行った。オールト雲の形成・進化はその遥か内側で進行した主要な惑星の形成と進化と密接に連動して来たはずである。しかし多様な観測的証拠が揃う主要惑星の進化研究とは異なり、オールト雲やそこを起源とする彗星(新彗星)については観測データが少ないために実態が明らかではない。だがオールト雲を起源とする彗星は確実に惑星領域に飛来しており、そのうち幾個かは地球近辺まで達して人間の目にも触れている。かつては惑星との衝突を起こした天体もあろう。本年度は現代的な観点を取り込んだオールト雲の力学モデルと数値実験により、そうした天体の力学進化を追い駆ける計算を開始した。まずは惑星領域に於ける新彗星の力学的寿命や近地球小天体との関連性を定量的に探り、将来的には観測データとの比較対照によりオールト雲にある天体の総量推定まで到達すれば可と考えている。ここでは二種類の力学モデルを組み合わせて用いる。第一は惑星形成期の微惑星散乱により二次元的な円盤として形成した彗星雲が銀河潮汐力と恒星遭遇を受けて最終的に三次元的なオールト雲に至るまでのモデルである。第二のモデルは第一のモデル内で発生した新彗星を惑星領域付近で受け取り、そこに惑星摂動を与えて新彗星の軌道進化を計算する。本年度の実績としては、オールト雲から惑星領域に飛来した新彗星は数千万年から数億年を滞在時間の最頻値として系外放出されることが分かった。この分布は初期条件の種類に余り依存せず、概ね彗星雲構成天体の初期軌道半長径分布に依ることが確かめられている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね順調に進展しており、ここに記すべき特段の事情は存在しない。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画に沿って引き続き小天体の力学進化・衝突についての数値実験を進行するとともに、光学観測によってメインベルト小惑星のサイズ頻度分布を推定する試みを実施する。研究スケジュールや内容に申請当初からの大きな変更は無い。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究機関内の経理担当部署と研究者側の意志疎通に齟齬が発生し、今年度分の交付額の一部を使用完了しなかったから。 数値実験の結果を保存するための固定ディスク装置の購入に充当する。
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