研究課題/領域番号 |
25400473
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 独立行政法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
佐々木 英治 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球シミュレータセンター, サブリーダー (50359220)
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研究分担者 |
笹井 義一 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境変動研究領域, 主任研究員 (40419130)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 海洋サブメソスケール / 高解像度海洋シミュレーション / 季節変動 / 海洋生態系 |
研究概要 |
海洋の数kmから数10kmのサブメソスケール現象をかなり解像している水平解像度1/30度(約3km)の高解像度北太平洋シミュレーションの出力を解析し、北太平洋で運動エネルギーが活発な海域である黒潮続流域の冬季に活発になるサブメソスケール現象の季節変動とサブメソスケールを含む幅広いスケールを含むスケール間の相互作用を調べた。 冬季に活動が活発な水平スケールを調べたところ、混合層不安定現象のスケールとほぼ一致、主に海面冷却で深くなった海洋の混合層で、活発な大気擾乱が不安定現象を励起し、サブメソスケール現象が活発になっていた。さらに流速場の波数スペクトル解析を調べると、その傾きが波数に対して-2乗を示し、エネルギーがサブメソスケールからメソスケール、大規模循環に逆カスケードしていることを示唆していた。また、サブメソスケール現象の活動指標として海面の相対渦度の季節変動を調べたところ、海面流速の相対渦度の変動は、海面高度から算出した地衡流の相対渦度の変動とほぼ一致していた。この結果は、2020年頃の衛星ミッション(COMPIRA(JAXA), SWOT(NASA, CNES))で観測可能になる高解像度の海面高度データで、海洋のサブメソスケールの変動を捉えられる可能性を示している。 2000年から2001年までの2年間の高解像度北太平洋シミュレーションに引き続き、簡易生態系モデルを組込んだシミュレーションを2002年と2003年の2年間を実施し、季節変動が顕著なサブメソスケールによる生態系への影響を解析するシミュレーションデータを構築した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
サブメソスケール現象が活発な黒潮続流域に注目して、季節変動、励起されるメカニズム、力学的な特徴を捉えることができた。また、海洋生態系モデルを含むシミュレーションデータを2年間構築し、サブメソスケールが生態系に及ぼす影響を調べるデータを構築できた。
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今後の研究の推進方策 |
サブメソスケールが物理場を通じて海洋生態系に及ぼす影響の解析を実施する。特に春季の植物プランクトンの大増殖に注目し、季節変動を踏まえて、調べる予定である。 サブメソスケールの解析を黒潮続流だけでなく、モデル領域である北太平洋全体に広げ、サブメソスケール現象の空間分布を季節変動を踏まえて調べる。
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次年度の研究費の使用計画 |
解析データを保存するRAIDシステムの価格が当初の見積額よりも、安価だったため。 シミュレーションデータの解析、論文執筆を実施するために海外研究協力者と打ち合わせ行う旅費、および論文投稿料に使用する予定。
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