研究課題
磁気圏尾部での磁気リコネクションのX-lineの朝夕方向の長さについて、人工衛星Geotail の1994年から2014年末までの期間の観測を総合解析し、ほぼ6Reであることを示した。電子電流層(イオンと電子の運動に差異ができる領域ion-electron decoupling region)の特徴である電子の加速から、71例の磁気リコネクションを同定し、さらに、地球半径の20-30倍の磁気圏尾部で起きた44例の磁気リコネクションをもとに解析を進めた。ここで、地球方向にX軸、朝夕方向をY軸とする。磁気リコネクションにともなうX-line の観測は、Y= +15 Re(Reは1地球半径)からY = -10 Reまでに分布するが、比較的小さなサブストーム(地磁気活動度指数Kp < 2+)の時には、Y= +3 to +9 Reのほぼ6Reの範囲に集中する。この外側では、磁気リコネクションにともなう電子の加速は観測されるが、X-lineを横切った時の観測がまれになっている。より大きなサブストーム(Kp > 3-)の時は、X-lineのY方向の長さが、特に朝方側に広がっていくことがわかる。Y= +9 Re付近では、磁気リコネクション領域に流れ込む-Y方向のMHD的なインフローが観測される。これは、プラズマの運動の観測から夕方側に端の効果ができ、X-line が孤立の「点」の集まりではなく、「線」を形成していることを示している。以上の研究から、X-line それ自身は、イオンの1倍の慣性長より狭い領域に形成され、その周辺には、ion-electron decoupling regionが10倍の地球半径の領域(一般に1 Re以下)にできる。X-line は、朝夕方向に6Re以上の長さを持つ。したがって、X-line は マクロ的に「X-line」として存在していることがわかる。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
Journal of Geophysical Research
巻: 120 ページ: 8762 8773
10.1002/2015JA021606
巻: 120 ページ: 1766 1783
10.1002/2014JA020737
巻: 120 ページ: 1957 1973
10.1002/2014JA020787
巻: 120 ページ: 6496 6513
10.1002/2015JA021226