研究課題
木星からのデカメートル波帯の自然電波放射である木星デカメートル波(木星電波)は、1955年に発見されて以来、その電波放射機構を解明するための観測・研究が行われてきたが、未だにその全容が解明されていない。この木星電波の観測において、世界最高レベルの感度を持つ大型アレイアンテナで構成される低周波宇宙電波望遠鏡LWA1が、ニューメキシコ大学のグループにより建設され、LWA1を使った木星電波のダイナミックスペクトラム観測が行われた。このLWA1は、256基のアレイアンテナで構成されており、右回りと左回りの偏波の観測を行うため、広帯域な2系統のアクティブ・ダイポールアンテナで構成され、受信したアナログ信号は超高速サンプリングによりディジタル化されてデータ処理の後、アーカイブされている。木星電波の放射機構を解明するために、LWA1で観測されたデータをデータ解析言語であるIDLによって解析を行った。作成されたIDLプログラムにより、木星電波のダイナミックスペクトラムについて、任意の時間の周波数や強度を抽出や、時間分解能が大きいデータに関しては拡大処理することも可能となり、右回り・左回り偏波成分を独立に抽出することも可能となった。解析した木星電波のダイナミックスペクトラムでは、11MHzから38MHzの観測周波数帯で、モジュレーションレーンの微細構造を明瞭に確認することができた。また、右回り偏波と左回り偏波のダイナミックスペクトラム上でのモジュレーションレーンの微細構造の違いについて調べることにより、木星の北と南の二つの場所から独立に電波放射が起こっている電波成分をとらえることができた。また、木星のオーロラ現象と関係のある領域からの木星電波放射成分を初めて分離することに成功し、木星電波の放射モードを特定する上で極めて重要な情報を得ることができた。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 4件) 備考 (1件)
Journal of Geophysical Research
巻: 120 ページ: 1888-1907
10.1002/2014JA020815
http://jupiter.kochi-ct.jp/