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2014 年度 実施状況報告書

東南極セールロンダーネ山地~リュツォホルム湾における大陸衝突・分裂過程の復元

研究課題

研究課題/領域番号 25400483
研究機関新潟大学

研究代表者

豊島 剛志  新潟大学, 自然科学系, 教授 (10227655)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード東南極 / ゴンドワナ超大陸 / 大陸衝突帯 / 圧縮テクトニクス / 引張テクトニクス / セールロンダーネ山地 / リュツォホルム岩体 / スリランカ
研究実績の概要

セールロンダーネ山地南西テレーンの構造解析と変成作用の解析を進め,東西ゴンドワナ大陸衝突による圧力上昇後に形成された,正断層センスを示すマイロナイトについて,3つの可能性のある形成モデルとテクトニクスを論じ,大陸衝突過程との関連とともに,地球惑星科学連合2014年大会にて発表した。
さらに,昨年度作製した1/25万縮尺のリュツォホルム岩体とやまと・ベルジカ岩体の形態線図を地質図幅・空中写真を用いて修正し,広域断面図を作製した。その結果,リュツォホルム岩体にはWNW-ESE走向断層が発達し,変成岩層の繰り返しが頻繁に起こっている可能性とともに,同岩体が地質構造的に3地域に分けられることを明らかにした(プリンス・オラフ海岸地域,リュツォホルム湾東部地域,リュツォホルム湾南部地域)。プリンス・オラフ海岸地域にはWNW-ESE走向面構造が卓越する部分とN-SまたはNW-SE走向面構造が卓越する部分が交互に現れている。後者の部分にはN-SからNW-SEトレンドの褶曲が発達する。また,日の出岬南西端の大規模断層が推定され,このことは日の出岬にのみ変成年代の古いグラニュライトが分布することと整合的である。リュツォホルム湾東部地域では大きく見てN-Sトレンドを示すが,褶曲によって複雑に乱されている。リュツォホルム湾南部地域(スカーレン以西)ではWNW-ESEトレンドを示す。これらのことから,リュツォホルム岩体の累進変成作用ピーク時の大構造はWNW-ESEトレンドであるが,それがN-SからNW-SEトレンドの褶曲およびWNW-ESE走向断層など,多時相変形作用によって乱されたと考えられる。これらのことを第81回西日本南極セミナーにて発表した。この結果,リュツォホルム岩体のキーとなるいくつかの地域が選定され,同岩体の大構造が概ねスリランカのそれと類似していることが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成26年度の計画であったリュツォホルム岩体ややまと・ベルジカ岩体における岩相分布や地質構造形成史,運動学的解析の文献調査を行い,1/25万縮尺のリュツォホルム岩体とやまと・ベルジカ岩体の形態線図の作製と,広域テクトニクスのフレームワークである大構造の把握を行った。リュツォホルム岩体の既存研究における変成岩・深成岩の既存の年代データと地質構造形成史の整理・対比,変形構造とさらなる構造解析・変成作用の解析のキーとなる地域の選定など,多くが達成されている。これらのことから,おおむね順調に進展していると判断される。ただし,変形岩の放射年代の測定とEBSDによる構造解析が行われていない。

今後の研究の推進方策

セールロンダーネ山地で地質構造上キーとなる地域であるブラットニーパネ,メーニパなどにおいて構造解析と変成作用の解析を組み合わせてさらに詳しく行い,EBSDによる構造解析も進めて,変成作用と変形作用との関係を詳しく考察する。
リュツォホルム岩体ややまと・ベルジカ岩体において選定された,地質構造上キーとなる地域(新南岩,日の出岬南部,明るい岬,スカルブスネス,ルンドボークスヘッタ,ベルジカ山脈,やまと山脈北部など)において,既に採取され国立極地研究所が保管・管理している岩石標本・地質構造データを提供していただき,大~微細構造の構造解析を行う。文献調査と構造解析の結果を入れて,リュツォホルム岩体とやまと・ベルジカ岩体,それぞれの地質構造形成史・変形運動史を構築する。そして,セールロンダーネ山地・リュツォホルム岩体・やまと・ベルジカ岩体の地質構造形成史・変形運動史を対比してまとめ,セールロンダーネ山地からリュツォホルム岩体にかけての地域の地質構造形成史・変形運動史を構築する。さらに,それを西方のドロンイングモードランド中央部~西部やスリランカのそれらと対比する。
セールロンダーネ山地からリュツォホルム岩体にかけての地域の地質構造形成史・変形運動史に時間軸を入れるため,既存の年代データ(Shiraishi et al., 2008など)を地質構造形成史に関連づけるとともに,強変形の岩石中のジルコンなどを用いて,地質構造の形成年代を求める。これらの結果と既報の変成史や火成活動史を統合して,本地域の広域テクトニクス,ゴンドワナ超大陸形成時の大陸の衝突過程やその後の分裂過程を考察する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2014

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] リュッツォホルム岩体の大構造2014

    • 著者名/発表者名
      豊島剛志
    • 学会等名
      第81回西日本東南極セミナー
    • 発表場所
      乗鞍高原BELL鈴蘭小屋(長野県松本市)
    • 年月日
      2014-06-28 – 2014-06-29
  • [学会発表] 東南極セールロンダーネ山地における正断層センスを示すマイロナイト形成時およびその前後のテクトニクス2014

    • 著者名/発表者名
      豊島剛志:金谷亮子・小山内康人・馬場壮太郎・外田智千・中野伸彦・足立達朗
    • 学会等名
      地球惑星科学連合2014年大会
    • 発表場所
      パシィフィコ横浜(神奈川県横浜市)
    • 年月日
      2014-04-28 – 2014-05-02
  • [学会発表] 変堆積岩中のグラファイトを含むシュードタキライト: グラファイトの酸化によるCO2脱離の示唆2014

    • 著者名/発表者名
      中村 佳博,Madhusoodhan Satish-Kumar,豊島 剛志
    • 学会等名
      地球惑星科学連合2014年大会
    • 発表場所
      パシィフィコ横浜(神奈川県横浜市)
    • 年月日
      2014-04-28 – 2014-05-02

URL: 

公開日: 2016-05-27  

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