海水ストロンチウム同位体比の顕生代最小値はペルム紀中期末で,同時期に大量絶滅事件も起きた.本研究では,先行研究のほとんどないペルム紀中期ガダルピアン世に中緯度域で堆積した石灰岩を対象に,生層序データとあわせてストロンチウム同位体分析を実施した.その結果,海水ストロンチウム同位体比顕生代最小値はウォーディアン期に開始し,中緯度陸棚礁崩壊がキャピタニアン期に起きたことが明らかになった.500万年以上の長期のストロンチウム同位体最小値は,寒冷化で氷床に大陸が覆われて,年代効果により高いストロンチウム同位体比を持つ大陸ケイ酸塩の風化侵食率低下が原因であり,大絶滅も寒冷化に起因するモデルで説明した.
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