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2015 年度 実績報告書

現世および考古遺跡における高潮・越波堆積物の認定と津波堆積物との比較

研究課題

研究課題/領域番号 25400494
研究機関大阪市立自然史博物館

研究代表者

中条 武司  大阪市立自然史博物館, その他部局等, 学芸員 (80321917)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード越波堆積物 / 台風 / 高潮
研究実績の概要

本研究は、現世および考古遺跡発掘現場において台風を起源とする高潮・越波堆積物について、その堆積相を記載・解釈し、海岸低地における高潮・越波の侵食・堆積過程を明らかに知ることを目的としている。また津波堆積物との比較検討を行い、地層中におけるこれらのイベントの識別に貢献する。本年度に関しては、現世の高潮・越波堆積物を中心に、その堆積過程や海岸低地への堆積物の拡散やそれを規制する要因について検討を行った。
本年度は、三重県松阪市松名瀬海岸における台風堆積物を主な検討対象とした。トレンチ掘削による内部堆積構造の検討の結果、台風(越波)堆積物と見なしていた堆積地形は、台風時と通常時の堆積物の累重からなることが明らかとなった。すなわち、暴浪時には越波による砂嘴の破壊と連続した越波堆積物の急速な堆積が進行する。それに対し、暴浪が来襲しない期間には、満潮時の波浪や風によって砂嘴が徐々に成長していく過程が明らかとなった。これは砂嘴などの沿岸地形が暴浪などのイベント時のみではなく、通常時にも堆積作用が継続することで、その地形発達が促されていることを示している。
また北海道北部、紀伊半島南東部、瀬戸内海地域の高潮・越波堆積物およびその堆積微地形(一部、津波堆積物と目されているものも含む)を検討した結果、自然状態の海浜地形が維持されている海岸では、段や浜堤により高潮・越波が後背に広がらないのに対し、海岸侵食が進行している箇所では、高潮が容易に後背に広がることが堆積物や地形から確認された。これは海岸侵食が日本各地で問題になる中、海岸侵食を受けている地域において高潮による被害がかつてより広がる可能性を示しており、自然海岸の維持もしくは沿岸整備の重要性を示している。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件)

  • [雑誌論文] 紀伊半島北部の中新世石仏凝灰岩部層の火砕性堆積物2015

    • 著者名/発表者名
      佐藤隆春・鈴木桂子・和田穣隆・中条武司
    • 雑誌名

      地質学雑誌

      巻: 121 ページ: 173-178

    • DOI

      10.5575/geosoc.2015.0017

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 市民による自然環境調査と特別展の企画・実施2015

    • 著者名/発表者名
      中条武司
    • 雑誌名

      博物館研究

      巻: 50 ページ: 6-9

  • [学会発表] 福島県南相馬市小高川下流域における3.11津波堆積物の堆積状況と層相変化2016

    • 著者名/発表者名
      小倉徹也・中条武司
    • 学会等名
      日本堆積学会
    • 発表場所
      福岡大学
    • 年月日
      2016-03-05 – 2016-03-06
  • [学会発表] 越波による砂嘴の破壊と復元:伊勢湾南西部櫛田川河口の例2016

    • 著者名/発表者名
      中条武司・趙 哲済・小倉徹也
    • 学会等名
      日本堆積学会
    • 発表場所
      福岡大学
    • 年月日
      2016-03-05 – 2016-03-06
  • [学会発表] Reconstruction of the paleogeography aided by GIS of the Uemachi Upland and its surrounding lowland, Osaka prefecture, Japan2015

    • 著者名/発表者名
      Cho, C., Ichikawa, T., Matsuda, J., Nakajo, T., Tsujimoto, Y., Ogura,T., Takahashi, T. and Hirata, Y.
    • 学会等名
      XIX INQUA (International Union for Quaternary Reserch) Congress
    • 発表場所
      名古屋国際会議場
    • 年月日
      2015-07-26 – 2015-08-02
    • 国際学会
  • [学会発表] Relationship between development of beach ridge system and human activities in the western Osaka Plain, Japan2015

    • 著者名/発表者名
      Nakajo, T. and Cho, C.
    • 学会等名
      XIX INQUA (International Union for Quaternary Reserch) Congress
    • 発表場所
      名古屋国際会議場
    • 年月日
      2015-07-26 – 2015-08-02
    • 国際学会
  • [学会発表] 伊勢湾櫛田川河口におけるウォッシュオーバー・ファンの内部構造2015

    • 著者名/発表者名
      中条武司・趙 哲済
    • 学会等名
      日本堆積学会
    • 発表場所
      筑波大学
    • 年月日
      2015-04-25 – 2015-04-26

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公開日: 2017-01-06  

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