現世および考古遺跡発掘現場において、台風を起源とする高潮・越波堆積物について、その堆積相を記載・解釈し、海岸低地における高潮・越波の侵食・堆積過程を明らかにすることを目的とした。 現世堆積物については、三重県松名瀬海岸を中心に検討を行った。微地形およびトレンチ掘削による内部堆積構造の検討から、台風による砂嘴の破壊とそれに連続した砂嘴の復元過程を読み取ることができた。これは破局的な破壊が中心の津波堆積物とは異なる点である。西大阪平野における考古遺跡堆積物の検討では、縄文~古墳時代の大阪湾岸域では、台風による堆積物の集積が平野形成に大きな影響を与えていることが明らかとなった。
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